2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)を併発している患者を対象に、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの腎機能への影響を評価したFLOW試験のサブグループ解析の結果、セマグルチドは既往の心血管疾患や将来的なリスクにかかわらず、腎予後および生存を一貫して改善したことが、米国・University of Washington School of MedicineのKatherine R. Tuttle氏らによって示された。Journal of the American College of Cardiology誌2026年6月2日号掲載の報告。
FLOW試験は、2型糖尿病とCKDを有する患者集団において、セマグルチドの腎機能障害進行への影響を検討した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。参加者をSGLT2阻害薬などを含む標準治療に加えて、セマグルチド1.0mgを週1回皮下投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。主要評価項目は、主要腎疾患イベント(透析、移植、eGFR<15mL/分/1.73m2の発生、eGFRのベースラインから50%以上の低下、腎臓関連または心血管関連の死亡の複合)とした。全死因死亡は副次的評価項目の1つであった。
主な結果は以下のとおり。
・合計3,533例を中央値3.4年間追跡した。ベースライン時の平均年齢は66.6±9.0歳、女性が30.3%、平均eGFRは47.0±15.1mL/分/1.73m2、尿中アルブミン/クレアチニン比の中央値は567.6mg/gであった。
・ベースライン時点で、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有していた患者が33.9%、心不全を有していた患者が19.2%、ASCVDや心不全の既往がない患者のうち10年間の心血管疾患発症リスクが高い(PREVENT予測式≧20%)患者が66.5%であった。
・セマグルチド群では、プラセボ群と比較して、全体集団において主要評価項目である主要腎疾患イベントのリスクが24%低かった(1,767例中331例vs.1,766例中410例、ハザード比[HR]:0.76、95%信頼区間[CI]:0.66~0.88、p=0.0003)。
・セマグルチド群では、ASCVDの有無、心不全の有無、心血管疾患発症リスクの高低にかかわらず、一貫して主要腎疾患イベントのリスクが低かった。各サブグループにおけるセマグルチド群vs.プラセボ群のHRは以下のとおり。
-ASCVDあり群0.80 vs.なし群0.74(交互作用のp=0.62)
-心不全あり群0.67 vs.なし群0.79(交互作用のp=0.40)
-心血管疾患高リスク群0.73 vs.低リスク群0.73(交互作用のp=0.99)
・3年間で1件の主要腎疾患イベントを予防するための治療必要数(NNT)は、ASCVD群で22、心不全群で13、心血管疾患発症高リスク群で17であった。
・セマグルチドは、全死因死亡のリスクについても同様に一貫した低下をもたらした。
-ASCVDあり群0.82 vs.なし群0.78(交互作用のp=0.79)
-心不全あり群0.75 vs.なし群0.81(交互作用のp=0.74)
-心血管疾患高リスク群0.71 vs.低リスク群0.82(交互作用のp=0.63)
・いずれのサブグループにおいても、セマグルチド群はプラセボ群に比べ、eGFRの年間低下速度を有意に抑制し、高感度C反応性蛋白(hsCRP)を約30%低下させた。
これらの結果より、研究グループは「セマグルチドは、2型糖尿病およびCKDを有する患者にとって、腎機能・心血管機能・生存の総合的なベネフィットをもたらすため、重要な治療戦略となりうる」とまとめた。
(ケアネット 森)