既治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、新たなALK-TKIのneladalkibが、有望な抗腫瘍効果と忍容性を示した。同剤は同時に頭蓋内病変やALK G1202R耐性変異例に対しても良好な奏効を示している。neladalkibの第I/II相試験であるALKOVE-1のNSCLCコホートの初回解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、Jessica J. Lin氏(米国・Mass General Brigham Cancer Institute)が発表した。
TRKは、ヒトの神経系の発達、痛み、記憶などの調節に重要な役割を果たしている。多くのALK阻害薬はTRKファミリーも阻害してしまう。これが同薬によるCNS系の副作用の原因とされる1)。neladalkibはALKを阻害しつつ正常なTRKの阻害を避けるように設計されたTKIである2)。さらに良好な脳移行性を有し、G1202Rを含むALK獲得耐性にも対応する。
ALKOVE-1試験は、ALK陽性進行がんを対象にneladalkibの有効性・安全性を検討する国際共同第I/II相試験である。今回の発表では第II相試験の中からALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCの初回解析結果が発表された。
・対象:既治療の進行ALK融合遺伝子陽性NSCLC
・介入:neladalkib 150mg/日
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効割合(ORR)
[副次評価項目]奏効期間(DOR)、奏効までの期間、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、頭蓋内活性、安全性および忍容性など
主な結果は以下のとおり。
・ALKOVE-1登録781例中、neladalkibを投与されたALK陽性NSCLCは656例(安全性評価集団)、ALK-TKI既治療のALK陽性NSCLCは253例(有効性評価集団)であった。
・患者の年齢中央値は56歳、80%が欧米人(欧州40%、北米40%、アジア20%)、CNS転移ありが40%、前治療ライン数中央値は3、ALK G1202R耐性変異は19%であった
・追跡期間中央値11.3ヵ月における全体のORRは31%、ロルラチニブ治療なし群は46%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。
・12ヵ月DOR割合は全体で64%、ロルラチニブ治療なし群は80%、ロルラチニブ治療あり群は54%であった。
・PFS中央値は全体で5.7ヵ月、ロルラチニブ治療なし群は14.5ヵ月、ロルラチニブ治療あり群は4.6ヵ月。1年PFS割合は全体で33%、ロルラチニブ治療なし群は53%、ロルラチニブ治療あり群は26%であった。
・頭蓋内ORRは全体で32%、ロルラチニブ治療なし群は63%、ロルラチニブ治療あり群は21%であった。
・12ヵ月頭蓋内DOR割合は全体で71%、ロルラチニブ治療なし群は92%、ロルラチニブ治療あり群は55%だった。
・ALK G1202R変異陽性患者におけるORRは全体で68%、ロルラチニブ治療なし群は83%、ロルラチニブ治療あり群は63%であった。
・ALK G1202R変異陽性患者における12ヵ月DOR割合は全体で80%、ロルラチニブ治療なし群は77%、ロルラチニブ治療あり群は81%であった。
・頻度の高い試験治療下における有害事象(TEAE)はALT上昇(全Grade47%、Grade3以上20%)、AST上昇(全Grade44%、Grade3以上16%)、便秘、味覚異常などであった。用量減量に至ったTEAEは17%、治療中止に至ったTEAEは5%であった。
ALKOVE-1試験の有望な有効性および安全性データに基づき、1次治療を対象とした国際共同無作為化第III相臨床試験ALKAZAR試験(NCT06765109)が進行中である。
(ケアネット 細田 雅之)