ケアネットは2026年3月、会員医師1,000人を対象に「年収に関するアンケート」を実施した。最後の質問では、2024年4月からスタートした「医師の働き方改革」以降で、年収と労働時間がどう変化したかについて尋ねた。
年収は「変化なし」7割、アップ1割、ダウン2割
2024年度以降の年収の変化では、「変わらない」が73%、「増えた」が9%、「減った」が18%だった。年代別では、「年収が増えた」の割合は35歳以下では14%、36~45歳では16%だった一方で、56~65歳は5%、66歳以上は1%と、年代が上がるにつれて減る傾向だった。若手は職位変化や専門医取得などの昇給機会が多いのに対し、ベテラン医師はそうした機会が少なく、体力面からアルバイト・副業なども減らす傾向にあることが背景にあるようだ。同様に「年収が減った」との回答割合も高齢層になるほど高かった。
診療科別(回答数30人以上の科)では、小児科は「収入が減った」の割合が33%と高く、消化器内科も25%と4分の1が減収と回答した。一方、「収入が増えた」の割合は呼吸器内科が21%と最も高く、続いて糖尿病・代謝・内分泌科の19%であった。
労働時間、「減った」のは大学病院勤務が最多
労働時間の変化では、「変わらない」75%、「増えた」11%、「減った」14%と、年収とほぼ同様の割合という結果だった。年代別では、35歳以下では「減った」が24%、「増えた」が7%と労働時間の減少傾向が見られたが、36~45歳、46~55歳では「増えた」と「減った」が共に1割強と拮抗しており、若手の労働時間減少分の一部を中堅層が肩代わりしている状況が推察された。
男女別では、「労働時間が減った」割合は男性13%に対し女性21%と、女性のほうが減った割合が高かった。勤務先別では、大学病院勤務者が「減った」の割合が16%と最も高く、医師の働き方改革の実行の度合いが伺える結果となった。
「年収アップで労働時間減」の理想型はわずか1%
年収と労働時間の変化の組み合わせでは、「いずれも変化なし」が63%と最も多く、医師の働き方改革が現場に与えた影響は、さほど大きくはない状況がみえた。「労働時間は減ったが、年収も減った」パターンが8%、「労働時間は増えたが、収入も増えた」パターンが4%、「労働時間は増えたのに、年収は減った」という厳しいパターンも2%存在した。理想的な「年収は増え、労働時間は減った」という医師はわずか1%であった。
収入や労働時間に関する自由回答では、収入増加のための行動として投資(有価証券、不動産など)、転職、アルバイト増加(当直、産業医など)が挙げられた。また、節税対策やふるさと納税の活用もみられた。「年収がアップしても税金が増えるだけなので、モチベーションが湧きにくい」という不満の声も複数寄せられた。総じて30~40代の医師は転職や自己研鑽、専門医取得などで収入アップを図るという声が目立ったが、50代以降では「現状で満足」「体力的に厳しいのでバイトを減らす」といった声もあった。「大学病院の給料をもっと上げるべき」「定年後の再任用で給与が激減するのを緩和してほしい」といった提言・要望も目立った。
第1回のアンケート結果で紹介したように、この10年間、医師の給与はほとんど上がっておらず、物価高が続く中、さまざまな道を模索する医師の姿がうかがえる結果となった。
アンケート概要
対象:ケアネット会員医師1,000人(男性883人、女性117人)
実施日:2026年3月2〜9日
手法:インターネット調査
その他、詳細な結果については、以下のページに掲載している。
医師の年収に関するアンケート2026【第4回】働き方改革による変化
(ケアネット 杉崎 真名)