日本の初期研修医における重大インシデント、男女で差

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/29

 

 過去の研究で、女性医師のほうがガイドラインやエビデンスに基づいた診療を行うことで患者の予後が良好なことが示唆されている。今回、東京科学大学の片桐 碧海氏らが、初期研修環境の改善を目的に国内の初期研修医約6,000人の横断的データを解析し、初期研修医の性別と患者安全インシデントの関連における業務量と心理的負担の関与について検討した。その結果、女性研修医は男性研修医に比べ、重大なインシデントを起こすリスクが低いことが示された。Journal of Patient Safety誌2026年5月号に掲載。

 本研究は、2022年度の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)のデータを用いた横断的研究である。対象は、卒後1年目および2年目の研修医計6,063人。匿名アンケートにより、過去12ヵ月間に自らの医療過誤によって生じた重大な患者安全インシデント(死亡または重篤な有害事象)の有無を調査した。マルチレベル混合効果ロジスティック回帰分析により、病院間の差異を調整し、さらに労働時間、当直頻度、燃え尽き症候群、同僚からの妨害行為などの労働条件についても検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・同僚からの妨害行為を媒介変数として考慮した場合、女性研修医では重大な患者安全インシデントが発生するリスクが低かった(オッズ比[OR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.59~0.85)。
・週労働時間とインシデントリスクの関連には、男女で異なる傾向が見られた。男性ではU字型の関連を示し、週45時間未満(OR:2.07、95%CI:1.39~3.09)および週80時間以上(OR:1.35、95%CI:1.05~1.74)の両方でリスクが高かった。女性では用量反応的な関連を示し、とくに週80時間以上の長時間労働でリスクが顕著に高まった(OR:2.10、95%CI:1.43~3.09)。
・燃え尽き症候群や当直頻度については、医師の性別との有意な相互作用はみられなかった。

 著者らは、勤務時間の短縮は、重大な患者安全インシデント防止という点で、女性研修医にとって有益である可能性を指摘している。

(ケアネット 金沢 浩子)