GLP-1受容体作動薬の作用として胃排出遅延と食欲抑制は知られているが、両者に関連性はあるのだろうか。このテーマに関して、米国・モネル化学感覚研究所のMark I. Friedman氏らの研究グループは、リラグルチド投与群の症例の胃排出と満腹感の測定値およびエネルギー摂取量との相関関係を検討した。その結果、胃排出遅延は、リラグルチドの食欲抑制作用において直接的な役割をほとんど果たしていないことが示唆された。この結果はObesity誌オンライン版2026年7月2日号で公開された。
リラグルチドの胃排出遅延は食欲抑制作用に数%だけ影響
研究グループは、GLP-1受容体作動薬リラグルチド投与中の胃排出遅延と食欲抑制との関連性評価を目的に、肥満患者を対象とした16週間の無作為化プラセボ対照リラグルチド試験の2次データ解析を実施した。ベースライン時および治療終了時において、コホート全体、および試験を完了したプラセボ群とリラグルチド投与群について、固形食の胃排出と満腹感の測定値およびエネルギー摂取量との相関関係を検討した。また、治療中に正常な胃排出、持続的な胃排出遅延、または一過性の胃排出遅延を示したリラグルチド投与群の参加者間で食欲に関する指標を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・全コホートにおいて、ベースライン時および試験終了時、胃排出はエネルギー摂取量と有意な相関を示し、ベースライン時には満腹感の指標の1つとも有意な相関を示した。
・胃排出は、これらの食欲関連指標の変動のわずか4~6%にしか影響していなかった。
・プラセボ群またはリラグルチド投与群のいずれか単独では、このような相関は認められなかった。
・リラグルチド治療中に異なる胃排出パターンを示したサブグループ間において、食欲関連指標に差は認められなかった。
研究グループは、これらの結果から「胃排出の遅延は、リラグルチドによる食欲抑制に直接的な役割をほとんど果たしていないことが示唆された。今後の研究で、胃排出遅延や、ほかのGLP-1受容体作動薬による胃腸管への影響が、食欲に直接的または間接的に影響を与えるかどうかを検証する必要がある」と考察している。
(ケアネット 稲川 進)