過度な飲酒は健康に悪影響を及ぼすが、少量~中等量の飲酒と死亡率との関連については、飲料の種類によってリスク構造が大きく異なることがUKバイオバンクのデータを用いた大規模調査で明らかになった。本研究は米国心臓学会議(ACC2026、3月28~30日)のPoster Contributionsにおいて、中国・中南大学湘雅第二病院のZhangling Chen氏が発表し、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2026年4月7日号(第87巻第13号増刊号)に掲載された。
本研究は、アルコールの総摂取量ならびに種類別摂取量と、全死亡および原因別死亡率との関連を明らかにするため、2006〜22年にUKバイオバンクに参加した34万924人を解析。各参加者を1日および1週間あたりの純アルコール摂取量(g)に基づいて4つのカテゴリーに分類し、Cox回帰分析した。
(1)Never/Occasional(飲まない/たまに飲む)…男女共20g/週
(2)Low(少量)…男性:20g/週かつ20g/日、女性:20g/週かつ10g/日
(3)Moderate(中等量)…男性:20~40g/日、女性:10~20g/日
(4)High(多量)…男性:40g/日超、女性:20g/日超
純アルコール約14gは、ビール350mL、ワイン150mL、蒸留酒45mLに相当
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間13.4年に2万2,381例の死亡が記録された(心血管疾患[CVD]:4,288例、がん:1万1,063例、そのほか:7,030例)。
・総アルコール摂取量の多量群は飲まない/たまに飲む群と比較して全死亡が24%上昇(ハザード比[HR]:1.24、 95%信頼区間[CI]:1.17~1.31)、CVDによる死亡は14%(95%CI:1.01~1.28)、がんによる死亡は36%(同:1.26~1.47)、そのほかの原因別死亡は12%(同:1.02~1.22)高かった。
・中等量群でもがんによる死亡が11%上昇した(同:1.03~1.20)。
・アルコールの種類によるリスクの違いは、少量~中等量群で顕著で、蒸留酒、ビール、シードルの摂取が全死亡の有意な上昇と関連していた(HR:1.07〜1.83)。
・一方でワインの場合は、少量~中等量群では全死亡ならびに原因別死亡の低下と関連し(HR:0.79〜0.92)、多量群はがんによる死亡の上昇と関連していた(HR:1.10、95%CI:1.02~1.20)。
・多量群は、ビール、シードル、蒸留酒、ワインと種類を問わず、部位別がん死亡*の上昇と関連していた。
*頭頸部、呼吸器、消化器、肝臓/胆嚢、神経系、血液、生殖器、女性乳がん
研究者らは、「赤ワインに含まれるポリフェノールや抗酸化物質などの特定の化合物は、心血管の健康に良い影響を与える可能性がある。また、ワインは食事と一緒に飲まれることが多く、食生活の質が高く、全体的に健康的な生活習慣を送っている人に多く飲まれている。一方、蒸留酒、ビール、シードルは食事以外の場面で飲まれることが多く、食生活の質の低さやそのほかの生活習慣上のリスク要因と関連している」とし、「これらの要因を総合的に考え、アルコールの種類、摂取方法、そしてそれに伴う生活習慣のすべてが、観察された死亡リスクの差に寄与していることが示唆される」と述べている。
(ケアネット 土井 舞子)