認知症に伴う食欲不振やアパシーに対する人参養栄湯の有用性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/16

 

 現在、認知症に伴う食欲不振やアパシーに対する有効な薬物療法は明らかになっていない。筑波大学の田村 昌士氏らは、アルツハイマー型認知症(AD)およびレビー小体型認知症(DLB)における食欲不振やアパシーに対する人参養栄湯の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験を実施した。Psychogeriatrics誌2026年1月号の報告。

 本研究には、日本の病院およびクリニック16施設が参加した。対象患者は、人参養栄湯群24例または対照群25例にランダムに割り付けられた。主要アウトカムは、Neuropsychiatric Inventory-12(NPI-12)のサブカテゴリー「摂食行動」における食欲不振スコアの12週間後の変化とした。副次的アウトカムは、食物摂取量、NPI-12スコア、Zarit介護負担尺度日本語版、意欲の指標(Vitality Index)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、前頭葉機能検査(FAB)、体重、赤血球数、ヘモグロビン、アルブミン、CONUTスコアの変化とした。

 主な結果は以下のとおり。

・主要アウトカムである食欲不振スコアの変化は、12週時点で両群間に有意差は認められなかった。
・副次的アウトカムのうち、人参養栄湯群において、対照群と比較し、4週目および12週目の食物摂取量の有意な増加が認められた。
・人参養栄湯群では、4、8週目のNPI-12スコア、12週目の抑うつ症状、4、8、12週目のアパシー、4、8、12週目の摂食行動の有意な減少が認められたが、対照群との差は認められなかった。
・食欲不振スコア6以上の患者を対象としたサブグループ解析では、人参養栄湯群は対照群と比較し、ベースラインから8、12週目におけるスコアの減少に有意な差が認められた。

 著者らは「主要アウトカムにおいて、統計学的に有意な差は認められなかったが、サンプル数が少なかったことが影響していると考えられる。しかし、人参養栄湯群において、副次的アウトカムである食物摂取量の有意な改善が示された。また、サブグループ解析では、より重度な食欲不振を有する患者において、人参養栄湯が食欲を改善する可能性が示唆された」とし「これらの知見は、ADまたはDLBにおける食欲改善に対する人参養栄湯の潜在的な有効性を示唆している」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)