ブレクスピプラゾールによるアジテーション治療は認知症患者だけでなく介護者にとっても有効

提供元:ケアネット

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公開日:2025/08/28

 

 香川大学の中村 祐氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する日本人患者を対象に、ブレクスピプラゾール治療が患者の神経精神症状および介護者の苦痛に及ぼす影響を評価した。Alzheimer's & Dementia誌2025年7月号の報告。

 第II/III相多施設共同二重盲検試験において、ブレクスピプラゾール1mgまたは2mg/日群およびプラセボ群に3:4:4でランダムに割り付け、10週間の治療を行った。評価には、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いた。患者の症状および介護者の苦痛は、NPIおよびNPI-Distressで定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・10週目におけるNPI総スコアのプラセボ群との差は、ブレクスピプラゾール1mg/日群で−1.2(p=0.5891)、ブレクスピプラゾール2mg/日群で−8.4(p<0.0001)であった。
・10週目におけるNPI-Distress総スコアのプラセボ群との差は、ブレクスピプラゾール1mg/日群で−1.1(p=0.2292)、ブレクスピプラゾール2mg/日群で−3.9(p<0.0001)であった。
・ブレクスピプラゾール2mg/日群とプラセボ群を比較したところ、NPIスコアは2ポイント以上、NPI-Distressの興奮/攻撃性スコアは1ポイント以上の改善を示した。

 著者らは「ブレクスピプラゾールは、日本人の急性期認知症における患者の症状改善および介護者の苦痛軽減に有効である可能性が示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)