インフルエンザワクチン接種と認知症リスク低下との関連性については、一貫性のない結果が報告されており、この関連性は明確になっていない。台湾・Keelung Chang Gung Memorial HospitalのWen-Kang Yang氏らは、全人口および慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血管性疾患などの認知症高リスク患者におけるインフルエンザワクチン接種と認知症リスクとの関連を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年7月1日号の報告。
2025年4月6日までに公表された研究をPubMed、Embase、CENTRALよりシステマティックに検索し、ランダム効果メタ解析を実施した。バイアスリスクの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・8件のコホート研究より993万8,696人をメタ解析に含めた。
・1件を除き、メタ解析に組み込んだ研究のバイアスリスクは低かった。
・インフルエンザワクチン接種は、認知症高リスク患者において認知症発症リスクの低下と関連していたが、全人口においては関連が認められなかった(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.86〜1.01)。
・高リスク患者においては、インフルエンザワクチン接種を2回以上受けると認知症発症リスクの低下との関連が認められた。
【2〜3回接種】HR:0.84、95%CI:0.76〜0.92
【4回以上接種】HR:0.43、95%CI:0.38〜0.48
著者らは「インフルエンザワクチン接種と認知症発症リスク低下との関連には、用量反応関係が認められた」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)