うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/09

 

 非薬理学的介入としての有酸素運動は、これまでのうつ病治療における有効な補助療法であるといわれている。しかし、有酸素運動による介入に関する包括的な評価は依然として不十分である。中国・海南師範大学のLei Chen氏らは、うつ病患者における有酸素運動と併用したさまざまな治療介入の有効性をシステマティックに評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2025年7月25日号の報告。

 PICOSフレームワークに基づき、2024年6月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)をPubMed、Web of Science、Cochrane Library、Embase、Scopus、CNKI、Wanfang、CBMより検索した。スクリーニングおよびデータ抽出は、独立して実施した。ネットワークメタ解析はStata 15.0およびR 4.4.1、バイアスリスクはCochrane Risk of Biasツール、エビデンスの質はCINeMAを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・RCT合計37件(うつ病患者3,362例)をメタ解析に含めた。
・5つの有酸素運動との併用治療(電気痙攣療法[ECT]、反復経頭蓋磁気刺激療法[rTMS]、中国伝統医学[TCM]、選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI]治療、認知行動療法[CBT])を評価した。
・累積順位曲線下面積(AUC)に基づく結果は、次のとおりであった。
【ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)】
ECT併用>rTMS併用>TCM併用>SSRI併用>CBT併用>理学療法>運動療法>CBT単独>TCM単独>対照療法
【ベックうつ病評価尺度(BDI)】
SSRI併用>ECT併用>CBT併用>運動療法>CBT単独>対照療法>理学療法
【うつ性自己評価尺度(SDS)】
TCM併用>CBT併用>対照療法>CBT単独

 著者らは「現在のエビデンスでは、うつ病治療における有酸素運動介入の併用は、単独療法よりも優れていることが示唆されている。なかでも、SSRI併用による有酸素運動介入は、強いRCTエビデンスおよび高品質のエビデンスにより評価されており、最も推奨される併用療法であると考えられる。その他の併用療法については、今後の大規模かつ高品質の試験による検証が求められる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)