進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025

提供元:ケアネット

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公開日:2025/06/10

 

 CheckMate 214試験において、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療として、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法はスニチニブ単剤療法と比較して有意な生存ベネフィットを示したことが報告されている。今回、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏が追跡期間中央値9.3年の最終解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)で発表。ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は全試験対象集団において生存の改善および持続的な奏効を示し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

・対象:未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者(≧18歳、KPS≧70%、RECIST v1.1に基づく測定可能病変あり)
・試験群:ニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg)3週ごと4回→ニボルマブ2週ごと 550例(うちIMDC分類中/高リスク425例)
・対照群:スニチニブ(50mg)1日1回4週→2週休薬 546例(うちIMDC分類中/高リスク422例)
・評価項目:
[主要評価項目]IMDC分類での中/高リスクの患者における全生存期間(OS)、独立画像判定委員会(IRRC)判定による無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)
[副次評価項目]ITT集団におけるOS、IRRC判定によるPFS、ORR、安全性

 主な結果は以下のとおり。

IMDC分類中/高リスクの患者における主要結果
・OS中央値:試験群46.7ヵ月vs.対照群26.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.59~0.81)
・PFS中央値:12.4ヵ月vs.8.5ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)
・ORR:42.4%vs.27.5%
・奏効期間(DOR)中央値:82.8ヵ月vs.19.8ヵ月(HR:0.48、95%CI:0.33~0.69)
ITT集団における主要結果
・OS中央値:52.7ヵ月vs.37.8ヵ月(HR:0.71、95%CI:0.62~0.82)
・PFS中央値:12.4ヵ月vs.12.3ヵ月(HR:0.88、95%CI:0.76~1.04)
・ORR:39.5%vs.33.0%
・DOR中央値:76.2ヵ月vs.25.1ヵ月(HR:0.53、95%CI:0.38~0.73)
治療期間、後治療、安全性
・治療期間中央値は7.9ヵ月vs.7.8ヵ月、治療関連有害事象(TRAE)による試験治療中止が24%vs.13%であった。
・試験治療後に全身治療を受けた患者の割合は58%vs.70%で、試験群ではスニチニブが25%と最も多く、対照群ではいずれかのPD-1阻害薬が46%と最も多かった。
・全GradeのTRAEの発現率は94%vs.98%と同等であったが、Grade3以上のTRAEの発現率は試験群で少なかった(49%vs.64%)。
・試験群において発現した全Gradeの免疫介在性有害事象(imAE)のうち、発現率が高かったのは下痢(44%)、皮疹(29%)、甲状腺機能低下症(20%)などであった。試験群の患者のうち31%がimAEのマネージメントを目的として、コルチコステロイドの投与を受けていた。またimAEの多くが12ヵ月以内に発現していた。

 Motzer氏は今回の結果について、進行淡明細胞型腎細胞がん患者の1次治療としてニボルマブ+イピリムマブ併用療法が標準治療であることを支持するものとまとめている。また、ニボルマブの皮下注製剤が静注製剤と同等の臨床効果を示したと報告されていることに触れ、本療法の維持療法における代替となる可能性があるとした。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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