1日1杯でも効果、コーヒーが死亡率を改善~高山スタディ 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/06/04 これまでの疫学研究では、コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡は逆相関する、と言われている。今回、岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学分野の山川 路代氏らが、岐阜県高山市で実施された高山スタディにおいて、コーヒー1日1杯以上の摂取が全死因死亡および心血管疾患、感染症、消化器疾患による死亡と逆相関することを明らかにした。Public Health Nutrition誌オンライン版2019年5月20日号掲載の報告。 著者らは、集団ベース前向きコホート研究である高山スタディにおいて、1992年のベースライン時点で、がん、冠動脈疾患、脳卒中の既往がない35歳以上の住民2万9,079人を対象とし、2008年まで追跡した。本研究は、コーヒー摂取と全死因死亡ならびに疾患特異的死亡の関連を食事や生活習慣の因子で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。また、コーヒー摂取量を含む食事摂取量は食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用い、ベースライン調査時のみ評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・平均追跡期間は14.1年であった。 ・41万352人年が解析に含まれ、5,339例が死亡した。 ・コーヒー摂取は全対象者の全死因死亡および心血管疾患による死亡と逆相関していたが、がんによる相関はなかった。 ・まったく飲まない人の全死因死亡と比較した場合、多変量ハザード比(HR)は、1杯未満/日は0.93(95%信頼区間[CI]:0.86~1.00)、1杯/日は0.84(95%CI:0.76~0.93)、2~3杯/日は0.81(95%CI:0.71~0.92)であった。 ・心血管死で調整したHRは、それぞれ0.87(95%CI:0.77~0.99)、0.76(95%CI:0.63~0.92)、0.67(95%CI:0.50~0.89)であった。 ・ほかの原因による死亡でも逆相関がみられ、とくに感染症や消化器疾患による死亡でみられた。 ■関連記事 コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響 コーヒーと大腸がんの関連、日本の8研究をプール解析 コーヒーやお茶は糖代謝を改善するか~メタ解析 慢性腎臓病患者でもコーヒー摂取で寿命が延びる? (ケアネット 杉崎 真名) 原著論文はこちら Michiyo Y, et al. Public Health Nutr. 2019 May 20:1-8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 糖代謝の改善にコーヒーやお茶は効果があるか~メタ解析 医療一般 日本発エビデンス(2019/01/15) 赤ワインやコーヒーがコロナ重症化リスクを増大 医療一般(2023/11/16) コーヒー・緑茶で貯蔵鉄が減少、閉経後女性は多飲による鉄欠乏に注意?~J-MICC佐賀地区研究 医療一般 日本発エビデンス(2023/09/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 好酸球数高値COPD、メポリズマブで中等度/重度の増悪低減/NEJM(2025/05/12) 単純性淋菌感染症、新規抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet(2025/05/12) 起立性高血圧に厳格降圧治療は有効か?/BMJ(解説:桑島巖氏)(2025/05/12) SSRI/SNRIの使用がベンゾジアゼピン依存性に及ぼす影響(2025/05/12) 糖尿病予防、メトホルミンも長期効果(2025/05/12) がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG(2025/05/12) 医療現場でのコミュニケーションの問題はインシデントの主因(2025/05/12) 大惨事はがんの診断数を減少させる(2025/05/12) 栄養士が調整した医療食の提供は医療費削減に有効(2025/05/12) [ あわせて読みたい ] 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)