統合失調症患者の高プロラクチン血症改善にメトホルミンが有効〜メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/02

 

 抗精神病薬治療は、高プロラクチン血症リスクと関連しており、月経障害、性機能障害、骨密度低下などにつながる可能性がある。ほぼすべての抗精神病薬は、プロラクチン値の上昇リスクを有しており、統合失調症患者の最大70%に影響を及ぼすと考えられる。台湾・台北医学大学のKah Kheng Goh氏らは、抗精神病薬治療中の統合失調症患者の高プロラクチン血症の軽減に対するメトホルミン治療の潜在的な役割を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年3月24日号の報告。

 2024年1月31日までに公表された統合失調症患者におけるプロラクチン値に対するメトホルミンの効果を評価したRCTを、PubMed、CNKI、Embase、Cochrane、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。データの抽出、統合には、ランダム効果メタ解析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・10件のRCT、1,046例(メトホルミン群584例、対照群[プラセボまたは未治療]462例)をメタ解析に含めた。
・メトホルミン群は、対照群と比較し、プロラクチンレベルの有意な低下が認められた(SMD:−0.98、95%CI:−1.62〜−0.35、p=0.002、transformed MD:−34.88ng/mL、95%信頼区間:−57.65〜−12.46)。
・サブグループ解析では、プロラクチン低下と有意に関連していた因子は、より高い投与量(1,500mg)、より短い治療期間(24週未満)、より高いBMI(25kg/m2超)、より長い罹病期間(1年超)であった。
・メトホルミン群は、対照群と比較し、有害事象またはすべての原因による中止率の有意な増加は認められず、忍容性は良好であった。

 著者らは「メトホルミンは、抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症に対する治療薬としての可能性が示唆され、とくに高用量、短期治療期間、高BMI、長期罹病期間を有する統合失調症患者で良好であり、忍容性プロファイルも良好であることが明らかとなった。本調査結果は、ロバストではあるものの、異質性が高いため、慎重に解釈する必要がある。今後の研究において、治療の最適化を図るために、メトホルミンの治療反応に対する人口統計学的および臨床的因子の調査が求められる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)