混合性うつ病の精神運動興奮に対するトラゾドンIVの有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/12

 

 精神運動興奮は、混合性うつ病の困難な症状であり、多くの場合、臨床アウトカムを悪化させ、治療を複雑化させる。イタリア・シエナ大学のPietro Carmellini氏らは、混合性うつ病患者を対象に、トラゾドン静脈内投与(IV)の有効性および忍容性を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2025年1月13日号の報告。

 対象は、混合性うつ病入院患者97例。症状重症度は、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)、ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)、7項目一般化不安障害質問票(GAD-7)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)を用いて評価した。

 主な内容は以下のとおり。

・治療初期において、興奮、不安、易怒性の有意な低減が観察された。
・相関分析では、トラゾドンIVの投与量とMADRS(r=−0.23、p<0.05)、GAD-7の項目5(r=−0.27、p<0.001)、CGI-S(r=−0.22、p<0.05)のスコア改善との間に有意な負の相関が認められた。
・治療期間においても、GAD-7の項目5(r=−0.29、p<0.001)、CGI-S(r=−0.27、p<0.001)のスコア改善と負の相関が認められ、これは治療期間が長くなると効果が低減する可能性を示している。
・回帰分析では、投与量ではなく治療期間がGAD-7の項目5およびCGI-Sのスコア改善に有意な影響を及ぼすことが示唆された。
・トラゾドンは、忍容性が良好であり、軽度の副作用が11.3%の患者でみられた。

 著者らは「混合性うつ病の興奮および関連症状の低減に対するトラゾドンIV治療、とくに初期段階での治療が有効であることを示唆しており、併せて治療期間を最適化することの重要性が示された。今後の研究において、個別化された投与戦略や長期アウトカムを調査する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)