統合失調症患者に対する心血管リスク最適化プログラム 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2023/12/11 心血管疾患は、統合失調症患者の早期死亡の主な原因の1つである。関連する修正可能なリスク因子には、不健全なライフスタイル、薬剤性副作用、身体的併存疾患などが含まれる。スペイン・ビック大学のNuria Riera-Molist氏らは、統合失調症患者の心血管リスク(CVR)低下のための6ヵ月間にわたる多因子CVR介入の有効性を評価する目的で本研究を実施した。その結果、患者中心の多因子CVR介入は統合失調症患者の6ヵ月後のCVRを改善し、それは主に脂質プロファイルの改善によりもたらされていたという。Journal of Psychiatric Practice誌2023年11月1日号の報告。 地域の精神保健センターにおいて、2群間並行ランダム化臨床試験を実施した。1つ以上のCVR因子(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙)のマネジメントが不十分な統合失調症患者46例を、介入群または対照群にランダムに割り付けた。介入群では、健康的なライフスタイルの促進、CVR因子の薬理学的管理、向精神薬の最適化、動機付けフォローアップなどの患者中心のアプローチ(心血管リスク最適化プログラム[Programa d'optimitzacio del RISc CArdiovascular:PRISCA])を行った。主要アウトカムは、両群のベースライン時と比較した6ヵ月後のCVRの変化とし、Framingham-REGICOR関数を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者は、介入群23例、対照群23例にランダムに割り付けられた。 ・ベースライン時に最も高頻度で認められたCVR因子は、高コレステロール血症(84.8%)であり、次いで喫煙(39.1%)であった。 ・介入群では、6ヵ月後のREGICORスコアの有意な低下が認められたが(相対リスクの低減率:20.9%)、対照群では有意な変化が認められなかった。 【介入群】REGICORスコア:-0.96%、95%信頼区間(CI):-1.60~-0.32、p=0.011 【対象群】REGICORスコア:0.21%、95%CI:-0.47~0.89、p=0.706 ・介入群では、LDLコレステロールの有意な低下も確認された(-27.14mg/dL、95%CI:-46.28~-8.00、p=0.008)。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Riera-Molist N, et al. J Psychiatr Pract. 2023;29:456-468. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症患者における10年間の心血管疾患リスク 医療一般(2023/09/28) 統合失調症患者における重度心血管疾患の有病率 医療一般(2021/06/23) 統合失調症まとめ【クローズアップ!精神神経 7疾患】 クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ニルマトレルビル・リトナビル、曝露後予防の効果なし/NEJM(2024/07/26) 卵巣がんリスク、卵巣子宮内膜症/深部子宮内膜症では9.7倍/JAMA(2024/07/26) 日本人で増加傾向の口腔がん、その最大要因とはー診療ガイドライン改訂(2024/07/26) HR+/HER2-進行乳がん1次治療、リアルワールドでのパルボシクリブ+フルベストラント/+AIの効果/日本乳癌学会(2024/07/26) 日本の精神科ガイドライン著者におけるCOI分析(2024/07/26) 感謝の気持ちは寿命を延ばす(2024/07/26) ベンゾジアゼピン系薬剤は認知症リスクを上げるか(2024/07/26) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)