コロナ外出自粛が高齢者の健康に及ぼした影響/日本抗加齢医学会

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/21

 

 新型コロナウイルス感染症流行時の外出自粛が機能年齢、酸化ストレスなどの抗加齢医学的指標に及ぼす影響について検討した結果、運動している自覚がある人であっても、実際には体重支持指数が低下して筋年齢が老化していたことを、草野 孝文氏(アエバ外科病院)が第23回日本抗加齢医学会総会で発表した。

 調査対象は2006年6月1日~2022年12月31日にアンチエイジング・ドックを受診した413例(男性204例[平均年齢64.0±12.5歳]、女性209例[平均年齢66.4±13.5歳])で、2類感染症指定期間中に外出自粛を行っていた群と行っていなかった群の機能年齢や抗加齢的指標を比較解析した。抗加齢的指標は筋年齢、神経年齢、血管年齢、ホルモン年齢、骨年齢、遺伝子損傷度、酸化ストレス度であった。

 主な結果は以下のとおり。

・外出自粛群は33例(男性15例、女性18例)で、平均年齢は65歳であった。非自粛群に比べて基礎疾患は少ない傾向にあり、男女ともに運動習慣がない人は有意に少なかったが、男性では食生活の悪化がみられた。
・外出自粛群では筋力評価の指標である体重支持指数が有意に低下し、とくに高齢者ほど低下していた。
・筋年齢は非自粛群よりも有意に高かったが、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢では有意差はみられなかった。
・遺伝子損傷度(尿中8-OHdG生成速度)、酸化ストレス度(尿中イソプラスタン生成速度、CoQ10酸化率)は高値を示した。
・ストレス耐性の指標(DHEA-s/コルチゾール比[20以上が目標値])は高値であった。

 これらの結果より、草野氏は「新型コロナ感染対策の外出自粛は体重支持指数を低下させ筋年齢を老化させた。外出自粛時の運動には主観と客観のずれがあり、大腿四頭筋の筋力量を増加させるスクワットや有酸素運動の正しい指導が必要である。また、食生活が悪化し、酸化ストレス度が増加していた。アンチエイジングや健康長寿のために、抗酸化的物質の食事指導の重要性が示唆される」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)