大動脈弁狭窄症の死亡率の動向~日本含む高所得国

カナダ・トロント大学の日尾野 誠氏らが、日本を含む高所得国8ヵ国における2000~20年の大動脈弁狭窄症の死亡率の動向を調査した結果、粗死亡率は8ヵ国とも増加したが、年齢標準化死亡率は3ヵ国(ドイツ、オーストラリア、米国)で減少傾向に転じ、80歳以上では8ヵ国で減少傾向に転じたことがわかった。Heart誌オンライン版2023年5月19日号に掲載。
本研究では、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本、オーストラリア、米国、カナダにおける2000~20年の大動脈弁狭窄症による死亡率の動向を調べるために、WHOのデータベースを用いて10万人当たり粗死亡率および年齢標準化死亡率、3つのグループ(64歳未満、65~79歳、80歳以上)の年齢層別死亡率を算出した。年間変化率は、結合点回帰を用いて分析した。
主な結果は以下のとおり。
・観察期間中、10万人当たりの粗死亡率は8ヵ国とも増加した(英国:3.47から5.87、ドイツ:2.98から8.93、フランス:3.84から5.52、イタリア:1.97から4.33、日本:1.12から5.49、オーストラリア:2.14から3.38、米国:3.58から4.22、カナダ:2.12から5.00)。
・年齢標準化死亡率の結合点回帰では、ドイツで2012年以降(-1.2%、p=0.015)、オーストラリアで2011年以降(-1.9%、p=0.005)、米国で2014年以降(-3.1%、p<0.001)に減少傾向に転じていた。
・年齢層別死亡率は、80歳以上ではほかの年齢層とは対照的に8ヵ国とも減少傾向にシフトしていた。
(ケアネット 金沢 浩子)
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