70歳以上の重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.大動脈弁置換術/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/26

 

 重症症候性大動脈弁狭窄症で手術リスクが中程度の70歳以上の患者において、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、大動脈弁置換術に対し1年全死因死亡率について非劣性であることが示された。英国・レスター大学のWilliam D. Toff氏らUK TAVI試験研究グループが、913例を対象に行った無作為化試験の結果を報告した。TAVIは、大動脈弁置換術に代わる低侵襲の治療法であり、手術リスクが高い患者にとって最適な治療法とされる。一方で、低リスクの患者へのTAVIの効果等については明らかになっていなかった。JAMA誌2022年5月17日号掲載の報告。

英国内34ヵ所の医療機関で無作為化試験

 研究グループは、手術リスクが中程度の患者においてTAVIが大動弁置換術に対して非劣性であるかを調べる無作為化試験を行った。2014年4月~2018年4月にかけて、英国34ヵ所の医療機関を通じて、重症症候性大動脈弁狭窄症で、年齢または併存疾患により手術リスクが中程度の70歳以上913例が登録された。最終フォローアップは2019年4月。

 被験者を無作為に2群に割り付け、一方にはCEマーク(欧州経済領域で法的安全性基準を満たした弁の指標)付きのあらゆる弁を使用したTAVI(アクセスルートは問わない)を、もう一方には大動脈弁置換術を行った。

 主要アウトカムは1年時点の全死因死亡で、主な仮説は、TAVIの大動脈弁置換術に対する非劣性であり、非劣性マージンは死亡率の絶対群間差について片側97.5%信頼区間(CI)上限値を5%とした。

 副次アウトカムは、入院日数、大出血イベント、血管合併症、ペースメーカー植え込み術を要した伝導障害、大動脈弁逆流症など36項目(本稿では30項目を報告)であった。

1年全死因死亡率、TAVI群4.6% vs.大動脈弁置換術群6.6%

 無作為化された被験者913例(TAVI群458例、大動脈弁置換術群455例)は、年齢中央値81歳(IQR:78~84)、女性424例(46%)、米国胸部外科学会(Society of Thoracic Surgeons)死亡リスクスコア中央値2.6%(IQR:2.0~3.4)のうち、フォローアップを完了した912例(99.9%)が非劣性解析に包含された。

 1年時点の死亡例は、TAVI群21例(4.6%)、大動脈弁置換術群30例(6.6%)で、補正後絶対リスク群間差は-2.0%(片側97.5%CI:-∞~1.2%、非劣性のp<0.001)だった。

 報告された30の事前規定の副次アウトカムのうち、24項目について1年時点で有意差が示されなかった。

 1年時点の大出血イベントの発生は、TAVI群が大動脈弁置換術群よりも有意に少なかった(7.2% vs.20.2%、補正後ハザード比[HR]:0.33[95%CI:0.24~0.45])。

 一方で、血管合併症(10.3% vs.2.4%、補正後HR:4.42[95%CI:2.54~7.71])、ペースメーカー植え込みを要する伝導障害(14.2% vs.7.3%、2.05[1.43~2.94])、および軽度(38.3% vs.11.7%)・中等度(2.3% vs.0.6%)大動脈弁逆流症(軽度~高度[高度の報告例なし]大動脈弁逆流症の統合vs.非発症の補正後HR:4.89[95%CI:3.08~7.75])の発生は、TAVI群が大動脈弁置換術群に比べ有意に多かった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 上妻 謙( こうづま けん ) 氏

帝京大学医学部内科学講座・循環器内科 教授