アリピプラゾールの自律神経への影響、長時間作用型注射剤と経口剤の比較

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/12

 

 非定型抗精神病薬は、自律神経系(ANS)の活動にさまざまな影響を及ぼす。中でも、経口の抗精神病薬であるアリピプラゾールは、ANS機能不全と関連しているといわれている。長時間作用型注射剤(LAI)は統合失調症の主な治療オプションであるが、ANS活性に対するLAIと経口剤との違いは、これまでよくわかっていなかった。横浜市立大学の服部 早紀氏らは、統合失調症におけるアリピプラゾールの経口剤と月1回LAI(AOM)のANS活性への影響を比較検討した。その結果、AOMによる単剤治療は、経口アリピプラゾールと比較し、交感神経系などの副作用リスクが低いことを報告した。BMC Psychiatry誌2023年3月3日号の報告。

 対象は、日本人統合失調症患者122例(入院患者:10例、外来患者112例、男性:51例、女性:71例、平均年齢[±SD]:43.2±13.5歳)。内訳は、経口アリピプラゾール単剤治療患者72例、AOM単剤治療患者50例であった。ANS活性の評価には、心拍変動パワースペクトル解析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・経口アリピプラゾールで治療された患者は、AOMで治療された患者と比較し、交感神経活性の有意な減少が観察された。
・重回帰分析では、アリピプラゾール製剤は、交感神経活性に有意な影響を及ぼすことが明らかとなった。
・AOMは、経口アリピプラゾールよりも、交感神経系などの副作用リスクが低いことが示唆された。

(鷹野 敦夫)