日本における若年性認知症の初期症状とは

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/06

 

 東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症のサブタイプごとに、若年性認知症の初期症状を調査した。その結果、若年性認知症はサブタイプにより初期症状の頻度に違いがあることが明らかとなった。著者らは、本結果が若年性認知症の初期症状に対する一般の人々の意識向上に貢献し、早期診断や社会的支援が促進されるだろうと述べている。Psychogeriatrics誌オンライン版2023年2月22日号の報告。

 日本における全国的な人口ベースの若年性認知症有病率調査を実施した。データは、若年性認知症を有する人が利用する医療サービス提供者を通じて収集した。初期症状は、記憶障害、失語障害、易刺激性、意欲低下、職場や家庭でのミスの増加、それ以外の異常な行動や態度といった6つのドメインで評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象は、若年性認知症を有する770例。
・認知症のサブタイプごとに特徴的な初期症状が観察された。
・アルツハイマー病では、記憶障害がより頻繁に認められた(75.7%、p<0.001)。
・血管性認知症では、失語障害がより一般的であった(41.3%、p<0.001)。
・前頭側頭型認知症では、意欲低下(34.9%、p<0.001)、職場や家庭でのミスの増加(49.4%p<0.001)、それ以外の異常な行動や態度(34.9%、p<0.001)が高率に認められた。
・女性では記憶障害が、男性では易刺激性がより多く観察された。
・対象者の半数以上が発症時に雇用されており、そのうちの57.2%は初期症状として職場や家庭でのミスの増加が認められた。

(鷹野 敦夫)