9価HPVワクチン「シルガード9」、9歳以上15歳未満の女性への2回接種の追加承認取得/MSD

MSDは2023年3月8日のプレスリリースで、同日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン[酵母由来])」について、9歳以上15歳未満の女性に対する2回接種の用法および用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。今回の承認により、対象年齢の女性の来院および接種回数を1回減らすことができ、ワクチン接種者や医療関係者をはじめとする接種に関わる人々の負担軽減にもつながることが期待される。
日本では、毎年約1万例の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約約2,900例が亡くなっている1)。また、子宮頸がんは20代、30代の若い女性でも罹るがんで、発症年齢が出産や働き盛りの年齢と重なることもあり、治療によって命を取りとめても女性の人生に大きな影響を及ぼすことが多い疾患である。子宮頸がんの予防方法には、10代からのワクチン接種と20歳になってからの定期的な検診がある。
「シルガード9」は、9歳以上の女性を対象に、子宮頸がんなどの予防を効能または効果として、合計3回接種する用法および用量で、2020年7月21日に製造販売承認を取得している。今回の追加承認は、国内ならびに海外第III相試験の結果に基づくもので、9歳以上15歳未満の女性における2回接種の免疫原性(抗体の産生など免疫反応を引き起こす性質)および安全性は良好であることが確認された。
9価HPVワクチンは、2014年12月に世界で初めて米国で承認されて以来、2023年2月時点で80以上の国または地域で承認されている。また、米国を含む諸外国では、定期接種としておおむね11~13歳を対象に9価HPVワクチンの2回接種が推奨されている2)。
HPVワクチンの接種環境がさらに整うことにより、日本においても子宮頸がんの予防が促進されることが期待される。
1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録/厚生労働省人口動態統計)全国がん罹患データ(2019年)/全国がん死亡データ(2021年)
2)第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会2022(ワクチン評価に関する小委員会 資料1-1)
(ケアネット 溝口 ありさ)
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