治療抵抗性の幻聴に対する低刺激rTMS療法の有用性

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/06

 

 治療抵抗性の幻聴を有する患者に対する治療として、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法が注目されている。しかし、とくにクロザピン耐性症状が認められる患者における最適な刺激パラメータはよくわかっていない。フランス・リヨン大学のJerome Brunelin氏らは、治療抵抗性の幻聴を伴う統合失調症患者に対して、うつ病性障害への刺激パラメータが有用かどうかを調査するため、非盲検レトロスペクティブ研究を実施した。その結果、クロザピン耐性症状が認められる患者を含む治療抵抗性の幻聴に対し、低刺激rTMS療法(3週間で30セッション)は有用なアプローチであることが示唆された。International Journal of Clinical and Health Psychology誌2023年1~4月号の報告。

 対象患者14例(クロザピン治療患者9例を含む)に対し、1Hz rTMS療法30セッションを3週間かけて実施した(セッション当たり360パルス、安静時運動閾値110%で60秒オン・30秒オフ、1日2セッション)。刺激は、左側頭頭頂接合部(国際10/20法に基づくT3-P3)をターゲットとして行った。

 主な結果は以下のとおり。

・rTMS療法後、幻聴評価スケールの有意な減少が認められた(-38.7±31.8%、p=0.003)。
・クロザピン治療患者9例においても同様に有意な効果が認められた(-34.9±28.4%、p=0.01)。

(鷹野 敦夫)