マイナ保険証への対応、他の医院はどうしてる?/1,000人アンケート

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/28

 

 2022年10月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用するシステム「マイナ保険証」が本格導入され、2024年を目処に現行の保険証を廃止するという方針も打ち出された。ケアネットでは10月17日、診療所を経営、勤務する会員医師1,000人を対象に、マイナ保険証への対応についてのアンケートを行った。

 「自身はマイナンバーカード取得と保険証機能への連携をしているか」を聞いた設問では、「取得・連携済み」が32.5%、「取得済みでこれから連携予定」が26.2%と合わせて約6割を占めた一方で、「マイナンバーカード自体を未取得」と答えた人も3割近くいた。マイナンバーカードの交付枚数は約6,301万枚、取得率は50.1%(10月18日時点)となっており、今回の医師の取得率はそれよりは高いものの、まだまだ全員に普及したとは言えない状況だ。

 「経営・勤務している診療所はマイナ保険証への対応(カードリーダーの設置)をしたか」との設問への回答は、「対応済み」が20%、「準備中」が35%と合計して半数を超えたが、「様子見・迷っている」が25%、「対応予定なし」が17.5%と、4割以上の回答者の診療所でまだリーダーが設置されていない状況が明らかになった。

 「設置した」または「していない」理由を聞いた設問(複数回答)では、「設置済み・準備中」の回答者では「政府からの要請だから」が最も多く、続いて「診療所経営に影響が出そうだから(保険医登録取り消しなど)」「機器設置に対する補助金があったから」といった選択肢が続いた。一方、「未設置」の回答者からは、「制度や対応方法がわからないから」が最も多く、「機器の設置・維持費用がかかるから」「設置の手間がかかるから」といった金銭面や手間を理由とする声が続いた。

 マイナ保険証や電子処方箋についての意見を聞いた自由回答では、肯定的な意見としては、「日本はデジタル対応が遅れているが、この機会に取り戻してほしい」(60代、内科)、「時代の流れ。抵抗する方がおかしい」(50代、糖尿病科)など、診療・処方データの集約によって、医療の効率化や医療費削減、新たなビジネス創出につなげるべき、という声が多かった。

 一方で、懐疑・反対の意見としては、「高齢者にとって対応が難しい」(50代、小児科/他多数)」、「個人情報漏洩が心配」(40代、内科/他多数)といった、制度からこぼれ落ちる可能性のある患者への配慮を求める声や、セキュリティ面の不安を挙げる声が複数の回答者から挙がった。また、「完全に反対ではないが、急ぎ過ぎ。拙速だ」という意見も多く、政府の急な舵切りに戸惑う様子が見える。さらに、「そもそも制度がわからない」「よく知らない」という回答も多く寄せられており、マイナ保険証対応の最前線に置かれる診療所の医師であっても、制度への関心や理解が深まらない状況が浮き彫りとなった。

アンケートの詳細は以下のページで公開中。
義務化!?どうするマイナ保険証への対応/会員医師1,000人アンケート

(ケアネット 杉崎 真名)