男性乳がんの予後予測因子

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/10/05

 

 毎年診断される乳がんのうち、男性が0.5~1%を占めている。今回、男性乳がんの予後予測因子について、米国・MedStar Georgetown University HospitalのOlutayo A. Sogunro氏らが後ろ向きチャートレビューを実施したところ、死亡リスクが高かったのは、高齢、糖尿病、心房細動、末期腎不全、PS 3、低分化腺がん、転移ありだった。なお、男性の乳がん患者では女性の乳がんと比べ、全生存率が低かった。Journal of Surgical Research誌オンライン版2022年9月28日号に掲載。

 本研究は、2010~21年における男性乳がんの後ろ向きチャートレビューで、人口統計、併存疾患、がんの特性、再発、死亡を収集した。Cox比例ハザード回帰モデルを使用して予後因子を決定し、カプランマイヤー曲線を用いて生存率を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・男性乳がん患者47例が特定された。受診時の平均年齢は64.1歳、アフリカ系米国人28例(59.6%)、白人が14例(29.8%)だった。
・大多数(89.4%)が浸潤性乳管がんで、T1が40.4%、T2が38.3%だった。3例(6.4%)が再発、8例(17%)が死亡した。
・エンドポイントとして死亡率を用いると、死亡リスクが高かったのは、76.1歳以上(ハザード比:1.13、p=0.004)、糖尿病(同:5.45、p=0.023)、心房細動(同:8.0、p=0.009)、末期腎不全(同:6.47、p=0.023)、ECOG PS 3(同:7.92、p=0.024)、低分化腺がん(同:7.21、p=0.033)、転移あり(HR:30.94、p=0.015)だった。
・3年全生存率は79.2%だった。

(ケアネット 金沢 浩子)