2cm以下の末梢非小細胞肺がん、肺葉切除 vs.縮小手術(CALGB140503) /WCLC2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/18

 

 2cm以下の末梢型非小細胞肺がん(NSCLC)に対して肺葉切除術と縮小手術(区域切除または楔状切除)を比較した米国の第III相試験CALGB140503(Alliance)の結果、縮小手術は肺葉切除に非劣性を示した。

 試験解析の結果は米国・New York Presbyterian病院のAltorki氏によって世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。

 1995年の米国Lung Cancer Study Groupによる肺葉切除と縮小手術の無作為化試験以降、cT1N0の小型NSCLCの標準術式は肺葉切除となっている。近年、小型の末梢非小細胞肺がんの検出が増加し、これらの患者集団に対し、呼吸機能維持を鑑みた縮小手術に関心が寄せられている。そのようななか、本年(2022年)日本で行われたJCOG0802試験が、2cm以下のNSCLCに対する区域切除の肺葉切除に対する非劣性を証明した。米国においてもAltorki氏らにより、臨床的 T1aN0(UICC-7) の2 cm以下の NSCLCに対する肺葉切除と縮小手術を比較した無作為化試験CALGB140503(Alliance)が行われた。

・対象:T1aN0(UICC-7) の2 cm以下の末梢型 NSCLC
・試験群:区域切除または楔状切除
・対照群:肺葉切除
・評価項目:
[主要評価項目]無病生存期間(DFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、6ヵ月時点での呼吸機能、局所/領域および全身性の再発

 主な結果は以下のとおり。

・2007年6月〜2017年3月に、Stage IAのNSCLC 1,080 例が登録され、697例が無作為に肺葉切除(357例) または部分切除 (340例)に割り付けられた。
・5年DFS率は縮小手術群63.6%、肺葉切除群64.1%であった(HR:1.01、90%CI:0.83〜1.24、非劣性片側p=0.0176)。
・OS率は縮小手術群80.3%、肺葉切除群78.9%であった(HR:0.95、90% CI:0.75〜1.21、非劣性片側p=0.014)。
・全再発率は縮小手術群30.4%、肺葉切除群29.3%であった(p=0.8346)。
・局所/領域再発率は縮小手術群と肺葉切除群でそれぞれ13.4%と10%(p=0.2011)、領域再発率はそれぞれ1.8%と2.6%(p=0.6623)、遠隔再発率はそれぞれ15.2%と16.8%であった(p=0.6323)であった。
・6ヵ月後のベースラインからのFEV1(%Predicted)の変化は縮小手術群−4.0、肺葉切除群−6.0(p=0.0006)、FVC(%Predicted)はそれぞれ−3と−5(p=0.0712)であった。

 この北米/国際無作為化試験では、2cm以下の末梢型NSCLCにおいて縮小手術は肺葉切除に非劣性を示した。発表者のAltorki氏は同試験結果とJCOG0802試験は、部分切除がこれらの患者サブセットのスタンダード治療であることを確立した、と結んだ。

(ケアネット 細田 雅之)