高血圧患者約2,700万人の9割に治療薬が処方/日本高血圧学会

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/17

 

 日本高血圧学会、医療経済研究機構、東京大学は共同研究として、全国民のレセプトデータであるNDB(national database)の分析により、わが国の医療機関における高血圧性疾患受療者数と治療薬処方数を初めて明らかにし、その内容をHypertension Research誌オンライン版2022年6月10日号に公開した。

 解析の結果、高血圧性疾患に罹患しているが実際に未受診の患者が多いこと、高血圧性疾患の受療者の多くは小規模な医療機関を受診していること、都道府県別での高血圧受療率の差などが本研究で明らかとなった。

 高血圧性疾患の受療率・処方率の継続的な観察、加えて地域の特性に応じた高血圧医療の改善を進めることが、国民の循環器病予防と健康寿命延伸に不可欠であると考察している。

東北地方、北関東には高血圧患者が多い傾向

【研究目的】
医療機関における高血圧性疾患患者の受療者数や受療率ならびに高血圧治療薬の処方患者数や処方率の実態を明らかにすること。

【方法】
2014年のNBDから外来医科レセプト・調剤レセプトデータを用い、高血圧患者および高血圧治療患者の有病率などを調査した。

【結果】
・2014年に高血圧と判定された日本人は約2,700万人であり、そのうちの95%の診断名が「高血圧」だった。投薬を受けている患者数は受療者の89.6%に当たる約2,400万人だった。
・高血圧性疾患患者の受療率(10万人当たり)は、女性で2万1,414人、男性で2万1,084人だった。高血圧治療薬の処方率(10万人当たり)は、女性で1万9,118人、男性で1万8,974人だった。
・年齢階級別に比較すると年齢が高いほど受療率は高く、80歳以上では人口の65.6%が受療していた。
・都道府県別に年齢調整受療率を比較すると、人口10万人当たり、女性では最小2万254人(京都府)/最大2万4,625人(栃木県)であり、男性では最小1万9,833人(神奈川県)/最大2万4,504人(福島県)だった。最大の府県は最小の府県の約1.2倍だった。
・都道府県別に年齢調整処方率を比較すると、人口10万人当たり、女性では最小1万7,860人(京都府)/最大2万2,557人(栃木県)であり、男性では最小1万7,221人(神奈川県)/最大2万2,598人(福島県)だった。
・高血圧性疾患患者の約59%が診療所(0〜19床)の小規模医療機関で受診していた。

【考察】
 研究グループは、今回の解析をうけ患者数約2,700万人と国民健康・栄養調査における推計有病患者約4,300万人との差、約1,600万人について未受診に患者が多いことを示唆している。また、高血圧のコントロールには小規模医療機関におけるかかりつけ医の診療が重要としている。

 地域別では東北地方、北関東で高血圧受療率が高い傾向がみられ、これらの地方での高い脳卒中死亡率とも関連しているとともに、受療率の低い地域でも未受療患者が多い可能性があり、注意が必要と警鐘を鳴らしている。

(ケアネット 稲川 進)