片頭痛患者の最も厄介な症状

片頭痛の急性期治療の臨床試験において、最近、最も厄介な症状が主要なエンドポイントとして推奨されるようになっている。ほとんどの臨床試験や観察研究は欧米で実施されているが、最も厄介な症状として挙げられているのは羞明である。台湾・国立成功大学のYi-Hsien Tu氏らは、台湾の片頭痛患者の大規模サンプルにおける最も厄介な症状の分布、臨床的関連、治療反応について調査を行った。その結果、台湾の片頭痛患者における最も厄介な症状は、悪心、音声恐怖、羞明の順であったが、最も厄介な症状と片頭痛の治療反応率は類似しており、片頭痛の急性期治療のアウトカム指標と最も厄介な症状が関連していることが報告された。Headache誌オンライン版2022年4月25日号の報告。
対象は、台北栄民総医院の頭痛専門外来で新規に片頭痛と診断された患者。すべての患者に対し、最も厄介な症状を含む頭痛プロファイルのアンケートを実施した。最も厄介な症状とこれまでの急性期治療に対する反応率との臨床的関連を分析した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は1,188例(女性の割合:79.4%、平均年齢:39.0±12.1歳)。
・最も一般的かつ厄介な症状は悪心(729例、61.4%)であり、次いで音声恐怖(280例、23.6%)、羞明(122例、10.3%)であった。
・症状の順位は、性別、年齢で違いが認められなかった。
・前兆のある片頭痛は、前兆のない片頭痛と比較し、羞明との関連が認められた(調整オッズ比[aOR]:2.97、95%CI:1.76~5.0、p<0.001)。
・慢性片頭痛患者では、最も厄介な症状として音声恐怖との関連が認められた(aOR:1.51、95%CI:1.13~2.01、p=0.005)が、悪心は可能性が低かった(aOR:0.68、95%CI:0.53~0.88、p=0.004)。
・最も厄介な症状が異なる患者では、これまでの急性期治療と同様の治療反応が認められており、全体的な治療反応率は52.2%であった(1,053例中550例)。
(鷹野 敦夫)
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