双極性または単極性うつ病患者の季節による臨床的特徴

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/23

 

 双極性障害のうつ症状(双極性うつ病)と単極性うつ病の鑑別は、誤診しないために重要である。中国・上海交通大学のShuqi Kong氏らは、双極性うつ病および単極性うつ病の初回入院患者における季節的な症状および非酵素性酸化ストレスの特徴を調査した。その結果、単極性うつ病患者と比較し、双極性うつ病患者は季節的な特徴を有している可能性が示唆された。著者らは、「季節性の単極性うつ病と双極性うつ病を鑑別するうえで、臨床症状や酸化ストレスの指標は有用である可能性がある」とし、「15~35歳の比較的若い年代では、冬期に双極性うつ病を発症する可能性が高い」と併せて報告している。Frontiers in Psychiatry誌2022年4月6日号の報告。

 対象は、双極性うつ病患者450例および単極性うつ病患者855例。うつ症状の急性発症で入院した季節に応じて、春、夏、秋、冬の4群に患者を分類した。DSM-Vに基づいた双極性障害の特徴的な症状は医療記録から収集し、酸化ストレスを反映した臨床生化学的指標も併せて収集した。双極性うつ病患者または単極性うつ病患者における季節的リスク因子を分析し、冬期発症の患者では年齢や性別との関連も調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・春期発症(双極性うつ病:124例、単極性うつ病:233例)では、メランコリックな特徴、非定型の特徴、抱合型ビリルビンに両群間で有意な差が認められた。
・夏期発症(同:115例、260例)では、メランコリックな特徴、尿酸、抱合型ビリルビンに両群間で有意な差が認められた。
・秋期発症(同:122例、211例)では、メランコリックな特徴、不安や疼痛、非定型の特徴、尿酸、総ビリルビン、抱合型ビリルビン、アルブミンに両群間で著しい差が認められた。
・冬期発症(同:89例、161例)では、抱合型ビリルビン、プレアルブミンに両群間で有意な差が認められた。
・双極性うつ病と比較した単極性うつ病の季節的な独立したリスク因子は、夏期発症のメランコリックな特徴および尿酸、秋期発症のメランコリックな特徴、尿酸、総ビリルビンであった。
・冬期発症では、両群間で年齢に有意な差が認められ、15~35歳の若年層で、冬期に双極性うつ病を発症する可能性が高かった。

(鷹野 敦夫)