小児自閉スペクトラム症に対するリスペリドンとアリピプラゾール~システマティックレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/05

 

 アルゼンチン・Instituto Universitario Hospital Italiano de Buenos AiresのCecilia Fieiras氏らは、小児自閉スペクトラム症(ASD)に対するリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性と安全性を評価するため、システマティックレビューのオーバーレビューを実施した。その結果、アリピプラゾールおよびリスペリドンは、短期的なフォローアップにおいて、ASD症状の重症度を改善する可能性があるものの、有害事象に対して注意が必要であることが示された。BMJ Evidence-Based Medicine誌オンライン版2022年1月31日号の報告。

 2021年10月までに公表された研究を、言語や発行日を制限することなくCochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Embase、PsycInfo、Epistemonikosより検索した。対象研究は、12歳以下のASD患児を対象にリスペリドンおよびアリピプラゾールによる治療(投与量の制限なし)を検討した研究。含まれたシステマティックレビューはAMSTAR 2を用いて方法論的質を評価し、研究実施者が行った分析に従いGRADEシステムによるエビデンスの確実性を分析に含めた。専門家グループが合意した中核および非中核のASD症状に影響を及ぼす9つの重要なアウトカムについて評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・22件のシステマティックレビューが特定されたが、その内16件はAMSTAR 2による信頼性が非常に低く、分析対象から除外した。
・アリピプラゾールおよびリスペリドンは、プラセボと比較し、症状重症度、反復行動、不適切な言葉遣い、社会的引きこもり、行動上の問題に対する有効性が認められた。
・ほとんどのアウトカムに関するエビデンスの確実性は、中程度であった。
・リスペリドンおよびアリピプラゾールは、代謝性および神経学的有害事象との関連が認められた。
・フォローアップ期間は、短期的であった。

(鷹野 敦夫)