抗うつ薬の漸減・中止に関する診療ガイドラインの推奨~システマティックレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/04

 

 抗うつ薬の漸減や中止は、うつ病患者のマネジメントを行ううえで重要であり、診療ガイドラインを考慮して進める必要がある。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnders Sorensen氏らは、うつ病に関する主要な診療ガイドラインにおける抗うつ薬の漸減および中止に関するガイダンスの内容や質を評価するため、システマティックレビューを行った。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2022年2月11日号の報告。

抗うつ薬中止、いずれの診療ガイドラインも治療アルゴリズムに包含せず

 英国、米国、カナダ、オーストラリア、シンガポール、アイルランド、ニュージーランドの保健当局および主要な国家的または国際的な専門機関より発行された、うつ病に関する診療ガイドラインをシステマティックにレビューした。2021年5月25日までにPubMed、14件のガイドラインレジストリおよび関連団体のウェブサイトを検索し、診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した。抗うつ薬の漸減および中止に関する診療ガイドラインの質の評価ツールとして、AGREE IIを用いた。

 診療ガイドラインの抗うつ薬の漸減および中止に関連する推奨事項について評価した主な結果は以下のとおり。

・21件の診療ガイドラインのうち15件(71%)において、抗うつ薬の漸減は徐々に、またはゆっくりと行うことが推奨されていた。しかし、減量、離脱症状と再発を鑑別する方法、離脱症状のマネジメント方法についてのガイダンスは示されていなかった。
・心理的課題については、いずれの診療ガイドラインにおいても取り扱われておらず、治療アルゴリズムおよびフローチャートは、抗うつ薬の中止について包含していなかった。
・診療ガイドラインの質は、全体的に低かった。

 著者らは「現在、抗うつ薬の中止または漸減に関して、離脱症状の軽減やマネジメントの観点から記載している主要な診療ガイドラインは見当たらなかった。そのため、診療ガイドラインに従った抗うつ薬の漸減および中止により症状が悪化した患者を、再発と結論付けることはできなかった。より良いガイダンスを作成するためにも、抗うつ薬の漸減および中止のための介入を調査するランダム化比較試験が必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)