日本人外来患者の片頭痛予防に対するフレマネズマブの長期安全性と忍容性

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/14

 

 従来の片頭痛に対する長期的な予防効果は、早期の治療中止やアドヒアランス不良による影響を受ける。そのため、長期にわたり安全性が良好な片頭痛予防薬が求められる。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本人の慢性または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブによる予防的治療の長期的な安全性および忍容性を評価するため、検討を行った。Drug Safety誌2021年12月号の報告。

 本研究は、52週間のランダム化非盲検並行群間試験として実施された。新たにエントリーされた日本人の慢性または反復性片頭痛患者を対象に、フレマネズマブを月1回投与する群と四半期ごとに投与する群にランダムに割り付けた。安全性は、注射部位の反応、検査値、バイタルサインを含む、治療による有害事象(TEAE)のモニタリングにより評価した。新たにエントリーされた患者、以前の第IIb/III相試験でフレマネズマブが投与されなかったロールオーバー患者、合計587例を免疫原性試験コホートに含めた。有効性アウトカムは、1ヵ月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化、1ヵ月当たりの中等度~高度の頭痛日数のベースラインからの変化などであった。その他の有効性アウトカムとして、障害スコアの変化を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・新たにエントリーされた日本人患者数は50例で、慢性片頭痛患者では、フレマネズマブ月1回投与群17例、フレマネズマブ四半期ごと投与群17例、反復性片頭痛患者では、フレマネズマブ月1回投与群8例、フレマネズマブ四半期ごと投与群8例であった。
・最も多く認められたTEAEは、鼻咽頭炎(64.0%)、次いで注射部位の反応(紅斑:24.0%、硬結:10.0%、痛み:8.0%、そう痒:6.0%)であった。
・治療中止率は低く(有害事象による中止:4.0%、有効性不十分による中止:2.0%)、死亡例は認められなかった。
・抗薬物抗体の発生率は低かった(2.4%)。
・フレマネズマブは、初回投与1ヵ月後から1ヵ月当たりの片頭痛日数および中等度以上の頭痛日数の減少が認められ、その効果は12ヵ月間持続していた。
・フレマネズマブにより、12ヵ月時点での急性頭痛薬の使用および頭痛関連障害の持続的な減少が認められた。

 著者らは「日本人の慢性または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブ使用は、十分に許容されており、12ヵ月間を通じて1ヵ月当たりの片頭痛日数および中等度以上の頭痛日数の持続的な減少が期待できる」としている。

(鷹野 敦夫)