EGFR陽性肺がんに対する術後オシメルチニブの効果は化学療法の有無で変わるか(ADAURA)/JTO

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/22

 

 Stage IB~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)には、術後補助化学療法が推奨されているが、その評価は必ずしも芳しくはないようだ。

 そのような中、EGFR変異陽性NSCLCに対する術後補助療法の第III相ADAURA試験において、オシメルチニブが有意に無病生存期間(DFS)の改善を示した。このたび、化学療法による前治療の有無と、オシメルチニブの有効性を検討した、同試験の探索的研究の結果がJournal of Thoracic Oncology誌に発表されている。

・対象:EGFR変異陽性(ex19del/L858R)でStage IB/II/IIIAの完全切除された非扁平上皮NSCLC患者、PS 0〜1
・試験群:オシメルチニブ80mg/日 最大3年間治療
・対照群:プラセボ
 化学療法による前治療も許容された
・評価項目:
[主要評価項目]治験担当医師評価によるStage II/IIIA患者の無病生存期間(DFS)、推定HR=0.70
[副次評価項目]全集団のDFS、全生存期間(OS)、安全性、健康関連QOL

 主な結果は以下のとおり。

・術後補助化学療法の前治療を受けたのは、全対象682例中410例(オシメルチニブ群203例、プラセボ群207例)であった。治療サイクルの中央値は4.0であった。
・補助化学療法の実施は70歳以上の患者に比べ、70歳未満の患者(70歳以上対70歳未満:42%対66%)、Stage II〜IIIAの患者(Stage IB対 II〜IIIA:26%対76%)、アジアで登録された患者(アジア以外で登録対アジアで登録:53%対65%)で多かった。
・DFSはオシメルチニブ群が良好で、対プラセボのハザード比(HR)は、補助化学療法施行患者で0.16(95%CI:0.10~0.26)、補助化学療法非施行患者では0.23(95%CI:0.13~0.40)であった。この傾向はStage関係なく観察されている。

 今回の探索的研究の結果は、前治療の補助化学療法の実施にかかわらず、Stage IB~IIIA のEGFR変異NSCLCに対するオシメルチニブの術後補助療の有効性を支持するものだ、と筆者は結論付けている。

(ケアネット 細田 雅之)

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