ファイザー製ワクチン、リアルワールドでの効果持続は/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/12

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染または新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン効果の減衰が懸念されている。今回、PCR検査が大規模に実施されているカタールにおいて、Weill Cornell Medicine-QatarのHiam Chemaitelly氏らがBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech製)の効果の持続性について検討した。その結果、感染に対する効果は2回目投与後のピークの後に急速な減衰がみられたが、入院や死亡抑制効果については、2回目投与後6ヵ月間は効果が持続していることが示唆された。NEJM誌オンライン版2021年10月6日号に掲載。

 本研究は、ファイザー製ワクチンの初回および2回接種後のSARS-CoV-2感染およびCovid-19関連の入院と死亡に対するリアルワールドでの効果を評価した症例対照研究。2021年1月1日~9月5日にカタール居住者の全国的なデータベース(PCR検査、ワクチン接種、COVID-19関連の入院、流行開始以降の基本的な人口統計の情報などが含まれる)を用いて、症例(PCR陽性者)と対照(PCR陰性者)を性別、年齢層、国籍、PCR検査の理由、PCR検査実施暦週について、1対1でマッチさせた。ファイザー製ワクチンのSARS-CoV-2感染に対する効果と、COVID-19の重症(急性期入院)、重篤(集中治療室入院)、死亡の抑制効果を推定した。なお、カタールでは、2021年9月7日時点で12歳以上の9割以上が1回以上ワクチン接種を受け、8割以上が2回接種を受けていた。

 主な結果は以下のとおり。

・感染に対する効果は、初回投与後2週間は非常に低かったが、初回投与後3週間で36.8%(95%信頼区間[CI]:33.2〜40.2)に増加し、2回目投与後の最初の月に77.5%(95%CI:76.4〜78.6)とピークに達した。その後は徐々に低下し、4ヵ月後に急減し、2回目投与後5〜7ヵ月は約20%であった。
・症候性感染および無症候性感染に対する効果の変化パターンは同様だったが、症候性感染のほうが無症候性感染より一貫して高かった。症候性感染に対する効果のピークは81.5%(95%CI:79.9〜83.0)、無症候性感染に対する効果のピークは73.1%(95%CI:70.3〜75.5)だった。
・変異株別、年齢層別にみても、効果の変化パターンは同様だった。
・COVID-19の重症、重篤、死亡の抑制効果は、初回投与後2週間は非常に低かったが、初回投与後3週間で66.1%(95%CI:56.8~73.5)に急激に上昇し、2回目投与後2ヵ月後には96%以上に達した。感染に対する効果とは異なり、ほぼ6ヵ月間持続した。

(ケアネット 金沢 浩子)