HR0.28、T-DXdがHER2+乳がん2次治療でT-DM1に対しPFS改善(DESTINY-Breast03)/ESMO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/22

 

 トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)でDESTINY-Breast03試験の中間解析結果を発表した。

 DESTINY-Breast03試験は、トラスツズマブとタキサンで以前に治療されたHER2+mBC患者におけるT-DXdとT-DM1の有効性と安全性を比較した多施設共同非盲検無作為化第III相試験。

・対象:トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2+mBC患者
・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け
T-DXd群:3週間間隔で5.4mg/kg投与 261例
T-DM1群:3週間間隔で3.6mg/kg投与 263例
・層別化因子:ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]OS、BICRおよび治験実施医師評価による客観的奏効率(ORR)、BICR評価による奏効期間(DOR)、治験実施医師評価によるPFS、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2021年5月21日までに15ヵ国から524例が無作為化された。
・年齢中央値はT-Dxd群54.3歳、T-DM1群54.2歳。両群ともアジア人が約6割を占め、HER2 Statusは3+が約9割、ホルモン受容体陽性の患者は約5割を占めていた。脳転移を有する患者はT-Dxd群23.8%、T-DM1群19.8%。内臓転移を有する患者はT-Dxd群70.5%、T-DM1群70.3%だった。
・治療歴については、1ラインがT-Dxd群49.8%、T-DM1群46.8%、2ラインがT-Dxd群21.5%、T-DM1群24.7%。トラスツズマブ治療歴を有する患者が両群とも99.6%、ペルツズマブ治療歴を有する患者がT-Dxd群62.1%、T-DM1群60.1%だった。
・観察期間中央値は、T-Dxd群が16.2ヵ月、T-DM1群が15.3ヵ月だった。
・主要評価項目のBICR評価によるPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。12ヵ月時点でのPFS率はT-DM1群34.1%(95%CI:27.7~40.5)に対しT-Dxd群75.8%(95%CI:69.8~80.7)だった。
・PFSのサブグループ解析の結果、ホルモン受容体の状態、ペルツズマブ治療歴、治療ラインの数、内臓および脳転移の有無によらず、すべてのグループでT-Dxd群における有意な延長がみられた。
・副次評価項目の治験実施医師評価によるPFS中央値は、T-Dxd群25.1ヵ月(95%CI:22.1~NE)vs.T-DM1群7.2ヵ月(95%CI:6.8~8.3)、HR:0.26(95%CI:0.20~0.35、p=6.5×10-24)でT-Dxd群の有意な延長がみられた。
・OSデータは未成熟であり、中央値は両群でともにNE、HR:0.56(95%CI:0.36~0.86、p=0.007172)となり事前に設定された有意性水準(p<0.000265)を満たさなかった。
・ORRは、T-Dxd群79.7% vs.T-DM1群34.2%でT-Dxd群で有意に高かった(p<0.0001)。CRは16.1% vs.8.7%、PRは63.6% vs.25.5%だった。
・治療期間中央値はT-Dxd群14.3ヵ月 vs.T-DM1群6.9ヵ月。Grade3以上の治療関連有害事象はT-Dxd群45.1% vs.T-DM1群39.8%で発現した。T-Dxd群のGrade3以上の治療関連有害事象として多かったのは好中球減少症(19.1%)、血小板減少症(7.0%)、白血球減少症(6.6%)、吐き気(6.6%)だった。
・治療中止に関連した有害事象としてT-Dxd群で最も多かったのはILD/肺炎(8.2%)、T-DM1群では血小板減少症(2.7%)だった。ただし、T-Dxd群でGrade4あるいは5のILD/肺炎はみられなかった。Grade2の左室駆出率低下がT-Dxd群で2.3%、T-DM1群で0.4%みられたが、Grade3以上の報告はない。

 Cortes氏は、本結果はT-DxdがHER2陽性mBC患者の2次治療における標準治療となることを支持するものと結論付けている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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