日本の小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの52週間市販後調査結果

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/02

 

 大塚製薬のYuna Sugimoto氏らは、日本の実臨床現場における小児自閉スペクトラム症(ASD)患者の易刺激性に対するアリピプラゾールの安全性および有効性について、市販後調査のデータを用いて評価した。BMC Psychiatry誌2021年4月22日号の報告。

 本市販後調査は、52週間の多施設プロスペクティブ非介入観察研究として実施された。6~17歳のASD患者に対し、実臨床下でアリピプラゾール1~15mg/日を投与した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者510例におけるアリピプラゾールの治療継続率は、168日(24週)目で84.6%、364日(52週)目で78.1%であった。
・副作用が認められた患者は、116例(22.7%)であり、主な副作用は、傾眠(9.4%)、体重増加(3.3%)であった。
・4週目における異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)の過敏症サブスケールスコアのベースラインからの変化量は-5.7±6.8(288例)であった。
・重回帰分析では、注意欠如多動症の症状を併発した患者においても、エンドポイントのABC-J過敏症サブスケールスコアに影響は認められなかった。
・24週目における子供の強さと困難さアンケート(Strengths and Difficulties Questionnaire:SDQ)の総合的困難さスコアのベースラインからの変化量は-3.3±4.9(215例)、SDQの向社会的な行動スコアのベースラインからの変化量は0.6±1.7(217例)であった。

 著者らは「実臨床下において、日本人小児ASD患者の易刺激性に対するアリピプラゾール治療は、長期的に忍容性が高く、有効な治療法であることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)

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