トランスジェンダー、ホルモン療法でにきび有病率が大きく上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/03

 

 思春期男子の悩みの1つににきびがあり、原因には男性ホルモンが関連しているためとされる。同様の悩みは男性化ホルモン療法(MHT)を受ける性同一性障害患者においてもあるというが、そうしたケースにおける発症リスクや有病率の詳細が明らかにされた。米国・ボストン大学のNick Thoreson氏らが988例を対象とした後ろ向きコホート研究の結果、MHT開始前後で、にきびの有病率は6.3%から31.1%へと大きく上昇し、年齢的には18~21歳の患者に多い傾向が認められたという。これまで、MHTを受ける性同一性障害患者のにきびのリスクについて大規模な研究は行われていなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年1月20日号掲載の報告。

 研究グループは、大規模なMHT中の性同一性障害患者におけるにきびのリスクと診断のための臨床的リスク因子を評価する検討を行った。

 被験者は、2014年1月1日~2017年12月31日にMHTを開始した患者988例で、1年以上のフォローアップを実施した。データの解析は2019年9月1日~15日に行った。データは、性的少数派コミュニティ(sexual and gender minority community)にサービスを提供する地域の保健センターからの電子健康記録(HER)を用いて入手。試験対象期間中にMHTを開始した、18歳以上(MHT開始時)かつ出生時の性別が女性であったすべての患者を対象とし、にきびの発症等について評価した。にきびの定義は、ICD-10の臨床修正コードによるものとし、MHT開始後2年間の全体有病率および評価対象期間における罹患率を算出して評価した。ベースラインの人口統計学的および臨床的特性は、MHT開始時点で収集した。

 にきびの診断との関連を検証するために、すべての要因の一連の単変量解析を行い、独立予測因子をテストするため多変量解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・患者988例(年齢中央値25.8歳、四分位範囲:20.8~28.2歳)において、にきびの全体有病率は31.1%(307例)であり、ベースラインの有病率6.3%から大きく上昇した。
・MHT開始後1年間の罹患率は19.0%、同2年目の罹患率は25.1%であった。
・MHT開始時の年齢が低いほど、にきび発生の尤度は高くなる関連が認められ、年齢中央値22.4歳(四分位範囲:19.7~25.6歳)の患者では関連が認められたが、同24.7歳(21.3~29.4歳)の患者では認められなかった(p=0.002)。

(ケアネット)

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