MSI-H/dMMR大腸がん1次治療のペムブロリズマブ、アジア人でも有用性を確認/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/03

 

 DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有する転移のある大腸がん患者を対象に、1次治療としてのペムブロリズマブの有用性を見るKEYNOTE-177試験。昨年発表された第2回中間解析では、ペムブロリズマブは化学療法と比較して全集団における無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。2月に行われた第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO Virtual2021)のPresidential Session1において、吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)が、本試験におけるアジア人サブセットの解析結果を発表した。

 KEYNOTE-177試験の概要は以下のとおり。
・未治療のMSI-H/dMMR陽性、転移を有する大腸がん患者307例をペムブロリズマブ(200mg、3週ごと投与)群または化学療法(5-FU併用療法±ベバシズマブまたはセツキシマブ、2週ごと投与)群に1対1の割合で無作為に割り付け
・化学療法群では病勢進行後にペムブロリズマブ群へのクロスオーバー可
・主要評価項目はPFSおよび全生存(OS)

 主な結果は以下のとおり。

・全307例中48例がアジア人だった(ペムブロリズマブ群22例、化学療法群 26例)。
・アジア人のPFS中央値はペムブロリズマブ群で未達、化学療法群で10.4ヵ月だった(HR 0.65、95%CI 0.30~1.41)。
・アジア人の奏効率は、ペムブロリズマブ群45%、化学療法群46%であり、奏効期間はペムブロリズマブ群で未達、化学療法群で28.8ヵ月だった。
・アジア人において、ペムブロリズマブ群に生じたGrade3以上の有害事象は化学療法群よりも少なかった(9% vs 80%)。

 今回の結果は全集団の結果と概ね一致しており、dMMR/MSI-H陽性・転移のある大腸がん患者の1次治療としてのペムブロリズマブは、アジア人においても有効性と忍容性が高いことが示された、としている。

JSMO Virtual2021は3月1~31日までオンデマンド配信が行われる(要参加登録)。
https://www.congre.co.jp/jsmo2021/

(ケアネット 杉崎 真名)