COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版を公開/日本感染症学会

提供元:ケアネット

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公開日:2021/02/05

 

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博氏[東邦大学医学部教授])は、2月1日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第7版」をまとめ、同会のホームページで公開した。

 本指針は、COVID-19の流行から約1年が経過し、薬物治療に関する知見が集積しつつあり、これまでの知見に基づき国内での薬物治療に関する考え方を示すことを目的に作成されている。

 現在わが国でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビルである。デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある。また、使用に際し指針では、「適応のある薬剤以外で、国内ですでに薬事承認されている薬剤をやむなく使用する場合には、各施設の薬剤適応外使用に関する指針に則り、必要な手続きを行う事とする。適応外使用にあたっては基本的にcompassionate useであることから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う。また、治験・臨床研究の枠組みの中にて薬剤を使用する場合には、関連する法律・指針などに準じた手続きを行う。有害事象の有無をみるために採血などで評価を行う」と注意を喚起している。

 抗ウイルス薬などの対象と開始のタイミングについては、「発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反応が主病態であると考えられ、発症早期には抗ウイルス薬、そして徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる」としている。

 抗ウイルス薬などの選択について、本指針では、抗ウイルス薬、抗体治療、免疫調整薬・免疫抑制薬、その他として分類し、「機序、海外での臨床報告、日本での臨床報告、投与方法(用法・用量)、投与時の注意点」について詳述している。

紹介されている治療薬剤

〔抗ウイルス薬〕
・レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100mgなど)
・ファビピラビル
〔抗体治療〕
・回復者血漿
・高度免疫グロブリン製剤
・モノクローナル抗体
〔免疫調整薬・免疫抑制薬〕
・デキサメタゾン
・バリシチニブ
・トシリズマブ
・サリルマブ
・シクレソニド
〔COVID-19に対する他の抗ウイルス薬(今後知見が待たれる薬剤)〕
インターフェロン、カモスタット、ナファモスタット、インターフェロンβ、イベルメクチン、フルボキサミン、コルヒチン、ビタミンD、亜鉛、ファモチジン、HCV治療薬(ソフォスブビル、ダクラタスビル)

今回の主な改訂点

・レムデシビルのRCTを表化して整理
・レムデシビルの添付文書改訂のため肝機能・腎機能を「定期的に測定」に変更
(抗体治療薬の項目追加)
・バリシチニブ+レムデシビルのRCT結果を追加
・トシリズマブのREMAP-CAP試験などの結果を追加
・シクレソニドの使用非推奨を追加

(ケアネット 稲川 進)

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