「日本における希少疾患の課題」を刊行/武田薬品工業

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/24

 

 希少疾病の診療のポイントは、いかに迅速に確定診断し、専門の診療科で治療を開始するかにある。しかし、現在、希少疾病の確定診断では、正確な診断を得るのに長期間を要することが課題となっている。

 たとえば、遺伝性血管性浮腫(HAE)の場合、確定診断までの平均期間がわが国では約13.8年であるのに対し、米国は約10年、欧州は約8.5年であり、日本は欧米に比べ長期間を要する状況である。

希少疾病の患者さんの迅速な診断と適切な治療、支援を受けられる環境づくり

 武田薬品工業株式会社は、こうした状況を鑑み、希少疾患の患者さんの課題を分析し、解決の糸口を考察した白書『日本における希少疾患の課題~希少疾患患者を支えるエコシステムの共創に向けて~』(以下、本書」)を刊行し、同社ホームページで公開した。

 本書は、国内外の専門家の意見や文献調査をベースに、同社が知見を有するデータを交え、発症してから医療機関で正しい診断を受け、治療を進めていく中で患者さんが直面するさまざまな課題に関する要因分析、改善に向けての提言が含まれている。

 同社の濱村 美砂子氏(ジャパンファーマビジネスユニット レアディジーズビジネスユニット ヘッド)は、白書刊行のねらいを「希少疾患の患者さんを取り巻く課題は多様であり、治療のみではなく多岐にわたる。そのような実情を一人でも多くの方に理解いただくために本書を作成した。また、患者さんのおかれた環境を改善するには、医療従事者や行政、患者会、企業など多様なステークホルダーが持続的に連携しあうエコシステムの構築が不可欠。当社は、治療薬の創出にとどまらず、一日も早く患者さんが診断され適切な治療と支援を受けられる環境づくりに貢献できるよう、幅広いステークホルダーと協働していく」と語っている。

主な内容と目次
【主な内容】
・日本における希少疾患の患者さんを悩ませる課題とその根本的原因を患者団体、臨床開発、医師間連携などの観点から分析した、製薬企業発の希少疾患白書
・国内外の専門家の証言や各種データをもとに、希少疾患患者さんにとって課題となる迅速な確定診断、専門的な医療などに関する海外の先進事例を紹介
・患者さんを中心に、医療従事者や政府、患者団体や企業が連携して課題解決に取り組むための提言患者団体の強化支援、疾患啓発推進のための環境整備などを掲載
【目次】
1. 概要
2. 背景及び目的
3. 希少疾患の概要
4. エコシステムを形成するステークホルダーの概要
5. 希少疾患患者の抱える苦悩 「ペイシェント・ジャーニー」の考察
6. 患者の苦悩を増幅させる「負の連鎖」の考察
7. 根本的原因の深掘り-海外の事例とともに掘り下げる-/根本原因1~4
8. 希少疾患患者の課題を解決するエコシステム創造に向けた提言/提言1~5
9. 結論
資料編:希少疾患に関する重要用語/略語/出典/数字で見る「ペイシェント・ジャーニー 希少疾患患者がたどる道のりと課題」

(ケアネット 稲川 進)