姉の乳がん発症年齢で、妹の発症リスクも高まる可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/07

 

 姉が乳がん歴を有する場合、妹の乳がんスクリーニングにおいてはその発症年齢を考慮する必要がある可能性が示唆された。米国・国立環境衛生科学研究所のAnn Von Holle氏らが、2万例を超える姉妹コホートの前向き研究結果を、International Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年11月28日号に発表した。

 著者らは、2万3,145人の姉妹コホートを前向きに調査し、乳がん歴のある姉の診断時の年齢前後でその妹の乳がんリスクが変化したかどうかを調べた。Cox回帰モデルの年齢依存性共変数を使用して、参加者がその姉の診断年齢に近い場合の乳がん発症のハザード比を、姉が全く異なる年齢で診断された同年齢の女性と比較して推定した。なお、若年発症の家族性がんによる相関関係を除外するために、50歳以上で登録した女性を個別に調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・2万3,145人の女性のうち、追跡期間中(中央値9.5年)に1,412人が乳がんを発症した。
・姉の診断時の年齢における妹の乳がん発症の推定ハザード比は1.80(95%信頼区間:1.18~2.74)であり、姉が全く異なる年齢で診断された同年齢の女性と比較してリスクが大幅に増加していた。
・50歳以上で登録した女性へ制限した場合も同様の結果が得られた。

 著者らは、この家族内集積は、晩年であっても、乳がん発症のタイミングに影響を与える重要な遺伝的および/または初期の環境リスク要因が存在する可能性があることを示唆すると結論づけている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)