認知症患者の身体的健康の改善に対する介入~メタレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/31

 

 ベルギー・University Psychiatric Center KU LeuvenのDavy Vancampfort氏らは、認知症患者の身体的健康を対象とした、薬理学的および非薬理学的介入についてのメタ解析を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年2月18日号の報告。

 検証済みの評価尺度で認知症と診断された患者を対象とした、システマティックレビューとメタ解析を実施した。2019年10月21日までの文献を、主要なデータベースより検索し、エフェクトサイズ(標準平均差[SMD]、Hedges g、リスク比[RR])の比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・検索の結果、メタ解析4件を含む3,773件がのうち、分析対象31件(1万54例)が抽出された。
・メタ解析は、十分に高品質であったが、研究件数はあまり多くなかった。
・栄養補助食品のみで、体重増加が認められた(SMD:0.53、95%CI:0.38~0.68、中程度の効果、12件、748例)。
・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、体重減少リスクの増加との関連が認められた(RR:2.1、95%CI:1.5~3.0、9件、7,010例)。
・疼痛治療は、感覚刺激に対する中程度の効果が認められたが(SMD:-0.58、95%CI:-0.99~-0.17、6件、199例)、身体活動にはわずかな影響しか認められなかった(SMD:-0.24、95%CI:-1.06~0.59、2件、75例)。
・心理社会的介入は、グループ介入では中程度の効果が認められたが(SMD:-0.55、95%CI:-1.02~-0.09、6件、157例)、個人介入での影響はわずかであった(SMD:-0.27、95%CI:-1.06~0.53、2件、55例)。

 著者らは「認知症患者は、高頻度に身体的併存疾患を有するが、この状態を予防および治療するための薬理学的および非薬理学的介入に関する現在のエビデンスは、まだ初期段階であり、さまざまな身体的健康に焦点を当てた大規模な試験が必要とされている」としている。

(鷹野 敦夫)