乾癬患者、全がんリスクが高い

提供元:ケアネット

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公開日:2019/11/06

 

 乾癬患者の発がんリスクおよびがん死リスクが明らかになった。英国・マンチェスター大学のAlex M. Trafford氏らによるメタ解析の結果、乾癬患者はいずれのリスクとも高く、さまざまな部位のがんと関連していることが認められたという。著者は、「さらなる研究を行い、特定の生活様式の因子や治療、乾癬の炎症プロセスを調べ、がんリスク増大のメカニズムを明らかにする必要がある」と述べている。乾癬患者の発がんリスクについては、重症度によるリスクの違いも不明であり、少なからぬ懸念が生じていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年10月16日号掲載の報告。

 研究グループは、乾癬患者の発がんおよびがん死のリスクに関する観察研究を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を行った。6つの電子データベース(MEDLINE、Embase、MEDLINE in Process、Cochrane Central Register、Web of Science、LILACS)を用いて創刊~2017年11月15日までを検索し、乾癬と発がんリスクおよびがん死リスクを推算していたコホート試験およびケースコントロール試験を特定した。

 試験デザイン、試験集団、推定リスクのデータを抽出し、ランダム効果モデルを用いて試験別の相対リスク(RR)を統合。不均一性はI2統計量を用いて定量化し、2018年4月9日~2019年2月22日に解析を行った。

 主要評価項目は、乾癬患者コホートと非乾癬患者コホートを比較した、がん発症およびがん死亡に関するプール解析をしたRR推定値であった。

 主な結果は以下のとおり。

・特徴を持つ計58試験(がんリスク試験50、がん死リスク試験15[両方を報告する7試験を含む])を包含。試験の質にはばらつきがあった。
・重症乾癬(RR:1.22、95%信頼区間[CI]:1.08~1.39[9試験])、すべての重症度の乾癬(1.18、1.06~1.31[7試験])で、がん(全がん)リスク増大との関連が認められた。
・また、さまざまな部位のがんとの関連が明らかになった。結腸(colon)(RR:1.18[95%CI:1.03~1.35])、大腸(colorectal)(1.34[1.06~1.70])、腎臓(1.58[1.11~2.24])、喉頭(1.79[1.06~3.01])、肝臓(1.83[1.28~2.61])、リンパ腫(1.40[1.24~1.57])、非ホジキンリンパ腫(1.28[1.15~1.43])、ケラチノサイトがん(1.71[1.08~2.71])、食道(2.05[1.04~4.07])、口腔(2.80[1.99~3.93])、膵臓(1.41[1.16~1.73])。
・全がん死亡リスクは、重症乾癬患者でより高率であった(RR:1.22、95%CI:1.08~1.38[4試験])。
・具体的には、肝臓(RR:1.43[95%CI:1.09~1.88])、食道(2.53[1.87~3.41])、膵臓(1.31[1.02~1.69])で重症乾癬患者のがん死リスク増大が認められた。
・層別化をしたにもかかわらず、推定値の不均一性は非常に高かった。
・喫煙、アルコール摂取、肥満を補正して推定した試験では、リスクの明らかな減弱が認められた。

(ケアネット)