「COVID-19、世界は収束の方向だが日本の状況を不安視」WHO進藤氏 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2020/02/18 2月14日の第35回日本環境感染学会総会・学術集会では、冒頭の会長講演に代わり、「新型コロナウイルス感染症の対策を考える」と題した緊急セミナーが開催された。この中で、WHO(世界保健機関)のメディカルオフィサーとして危険感染症対策に当たる進藤 奈邦子氏が、これまでのWHOの取り組みと世界からの最新情報、そして日本への期待について語った。 冒頭、進藤氏は「現在、WHOは新型コロナウイルス(COVID-19)根絶を目指したオペレーションを展開中だ。中国では既に新たな症例数が減りつつあり、その他の国からの報告例も減っている。その中で唯一、新たな症例数が増えているのが日本だ」と懸念を示した。 これまでの中国の対策については、「SARS・鳥インフルエンザ流行を経験し、対策を積み重ねてきた結果、現在の中国の呼吸器感染症対策は世界トップレベル。今回も情報提供の速さや科学者のオープンネスに信頼を寄せている」と評価した。さらに、武漢を中心とした中国の最新情報として、中国CDCのサイトのデータを参照し、「疑い例も確定診断例も減少の方向にある。武漢に入っている医師からも『新たな病院も完成し、状況をコントロールできつつある』という報告をもらっている」と述べた。続けてCOVID-19の死亡率について、「最新のモデリングを使った計算によると、臨床症状のある人を母数として1%、確定診断の人を母数として4%を切りつつある」、ウイルスの感染しやすさを示す基本再生産数(R0)について、「これまでに発表された論文を総覧するとおおむね2以上となっており、インフルエンザよりは高そうだ。排菌は発症から3、4日後がピークではないかと見ている」と説明した。 日本の状況について、「世界中が収束に向かう中で、新規の感染者が出続けていることを不安視している。とくにクルーズ船の問題は世界の関心を集めている。患者の人権を守り、拡大を食い止める医療を行うことは前提として、臨床とアカデミアが協力し、得られた貴重なデータを世界に報告してほしい」と述べた。最後に、会場を埋めた医療者に向け、「ここで日本が感染を食い止められなければWHOはCOVID-19根絶を諦めねばならない。日本は2009/10年の新型インフルエンザ流行に最もうまく対応した国。今回もできるはずと信じている。専門家の皆さんに期待している」と激励した。 WHOサイトでは、世界から集まったCOVID-19の症例情報等を集約して毎朝9時にレポートを更新、関連する論文データベースを構築するなど、COVID-19の関連情報をまとめ、発信している。 (ケアネット 杉崎 真名) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 日本環境感染学会が「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」公開 医療一般(2020/02/14) 武漢以外の新型コロナウイルス感染患者の臨床的特徴/JAMA 医療一般(2020/02/12) 米国2019-nCoV感染1例目、発熱・咳症状9日目に肺炎/NEJM ジャーナル四天王(2020/02/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] FUS-ALSの治療、jacifusenが有望/Lancet(2025/06/09) 軽症~中等症COVID-19、40種の薬物療法を比較/BMJ(2025/06/09) 胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025(2025/06/09) 統合失調症とうつ病における幻聴の違いは(2025/06/09) 進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025(2025/06/09) 乳がん内分泌療法に伴うホットフラッシュにelinzanetantが有効(OASIS-4)/ASCO2025(2025/06/09) がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会(2025/06/09) 好奇心は加齢に伴い減退する?(2025/06/09) [ あわせて読みたい ] 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編(2021/01/10) Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト(2020/10/10) 心不全特集まとめインデックス(2020/10/01) 腎性貧血特集まとめインデックス(2020/09/30)