日本初、RNAi治療薬オンパットロ発売~トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーに新たな選択肢

提供元:ケアネット

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公開日:2019/09/10

 

 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として、日本における初のRNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬である、オンパットロ点滴静注2mg/mL(一般名:パチシランナトリウム)が9月9日に発売された。オンパットロは、Alnylam Japan(以下、アルナイラム)が国内で上市・販売する最初の製品である。

オンパットロはTTRタンパク質の産生を阻害

 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、トランスサイレチンというタンパク質(TTRタンパク質)を作る TTR遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患である。TTR遺伝子変異によりTTRタンパク質由来のアミロイド線維が形成され、末梢神経や心臓など全身の臓器・組織に蓄積して、治療困難な神経障害や心機能障害、自律神経障害等の多様な症状が現れる。徐々に歩行困難や寝たきりの状態になり、未治療であれば、発症後約10年で死に至ることもある。しかし、臨床症状が多様であり、疾患特異的な症状に乏しい場合もあるため、診断が遅れることも少なくない。患者数は全世界で約5万人とされ、障害発生率と死亡率は高い。

 オンパットロは、遺伝子発現抑制(サイレンシング)という細胞内の自然なプロセスであるRNAiを応用した治療薬である。オンパットロは、疾患の原因となるTTRのメッセンジャーRNA(mRNA)を標的として開発され、TTRタンパク質の産生を阻害する、新たな作用機序を有する。RNAiの発見には、2006年にノーベル生理学・医学賞が贈られ、世界中でRNAiを応用した創薬研究が行われてきたが、細胞内に有効成分を届けるDDS(Drug Delivery System)が開発課題となっていた。アルナイラムでは脂質ナノ粒子に内包させる技術を採用し、RNAi治療薬として世界で初めて製品化に至った。

<製品概要>
製品名:オンパットロ点滴静注 2mg/mL
一般名:パチシランナトリウム
効果・効能:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
発売日:2019 年 9 月 9 日
薬価:986,097円

(ケアネット 金沢 浩子)