SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会

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 2型糖尿病患者に対する心血管系(CV)イベントリスクの低下を検討したランダム化試験から、SGLT2阻害薬による腎保護作用が示唆された。しかし、あくまで副次的解析であり、対象は腎機能が比較的保たれた例に限られていた。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で報告されたCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、慢性腎臓病(CKD)を合併した2型糖尿病患者の腎・心イベントを抑制することが明らかになった。Vlado Perkovic氏(オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学)が報告した。

対象は全例、腎機能の低下した2型糖尿病患者
 CREDENCE試験では、CKDを合併し、最大用量のレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬またはACE阻害薬を服用し、腎機能増悪高リスクの2型糖尿病患者4,401例が対象(日本からは110例)。CKDの基準は「eGFR:30~90mL/分/1.73m2」かつ「尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR):300~5,000mg/gCr」とした。

 平均年齢は63歳でHbA1c平均値は8.3%。腎機能は、eGFR平均が56.2mL/分/1.73m2、UACR中央値が927mg/gCrだった。また99.9%がRAS阻害薬を服用し、加えて69%がスタチンを併用していた。

カナグリフロジンは腎・心イベントを有意に抑制
 これら4,401例は2週間のプラセボ服用期間後、カナグリフロジン100mg/日群(2,202例)とプラセボ群(2,199例)にランダム化され、二重盲検法で追跡された。主要評価項目は「末期腎不全・血清クレアチニン(Cr)倍増・腎/心血管系死亡」の腎・心イベントである。

 2018年7月、中間解析の結果、主要評価項目発生数が事前に設定された基準に達したため、試験は早期中止となった。その結果、追跡期間中央値は2.62年(0.02~4.53年)である。

 主要評価項目発生率は、カナグリフロジン群:43.2/1,000例・年、プラセボ群:61.2/1,000例・年となり、カナグリフロジン群におけるハザード比(HR)は、0.70(95%信頼区間[CI]:0.59~0.82)の有意低値となった。

 カナグリフロジン群における主要評価項目抑制作用は、「年齢」、「性別」、「人種」に有意な影響を受けず、また試験開始時の「BMI」、「HbA1c」、「収縮期血圧」の高低にも影響は受けていなかった。「糖尿病罹患期間の長短」、「CV疾患」や「心不全既往」の有無も同様だった(いずれも、交互作用 p>0.05)。

腎イベントのみで比較しても、カナグリフロジン群でリスクが有意に低減
 副次評価項目の1つである、腎イベントのみに限った「末期腎不全・血清Cr倍増・腎死」も、カナグリフロジン群における発生率は27.0/1.000例・年であり、40.4/1.000例・年のプラセボ群に比べ、HRは0.66の有意低値だった(95%CI:0.53~0.81)。

 同様に副次評価項目の1つである「CV死亡・心筋梗塞・脳卒中」(CVイベント)も、カナグリフロジン群におけるHRは0.80(95%CI:0.67~0.95)となり、プラセボ群よりも有意に低かった。

 なお、総死亡、あるいはCV死亡のリスクは、両群間に有意差を認めていない。

下肢切断、骨折に有意差認めず
 有害事象のリスクも、カナグリフロジン群で有意に低かった。

 プラセボ群と比較した「全有害事象」のHRは0.87(95%CI:0.82~0.93)、「重篤な有害事象」に限っても、0.87(95%CI:0.79~0.97)である。

 また「下肢切断」のリスクだが、発生率はカナグリフロジン群:12.3/1,000例・年で、プラセボ群:11.2/1,000例・年との間に、有意なリスクの差は認めなかった(HR:1.11、95%CI:0.79~1.56)。なお本試験はCANVAS Programの報告を受け、2016年に安全確保のためプロトコールを改訂。以降、全例で「受診時の下肢チェック」と「下肢切断リスク上昇可能性時の試験薬一時中止」が求められるようになった。

 「骨折」の発生リスクにも、両群間に有意差はなかった。

 本試験は報告と同時に、NEJM誌でオンライン公開された。また、学会で掲出されたスライドは、The George Institute for Global HealthのHP からダウンロードが可能である。

(医学レポーター 宇津 貴史(Takashi Utsu))

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SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用がRAS抑制薬以来初めて示される(解説:栗山 哲 氏)-1039

コメンテーター : 栗山 哲( くりやま さとる ) 氏

東京慈恵会医科大学客員教授

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