脳卒中およびその病型を病院到着前から見分けるツール(JUST)を開発

提供元:
ケアネット

脳卒中およびその病型を病院到着前から見分けるツール(JUST)を開発のイメージ

 兵庫医科大学脳神経外科講師 内田 和孝氏らは、病院到着前に脳卒中の病型(脳卒中、脳大血管閉塞[LVO]、頭蓋内出血[ICH]、クモ膜下出血[SAH])を予測する脳卒中病型分類スコア(JUST)を開発した。研究の成果は、Stroke誌2018年8月号に掲載された。

 脳卒中は、その病型により治療アプローチや緊急度が大きく異なるため、病院到着前に脳卒中の病型が予測できれば、より早期により適切な治療を提供することが可能となる。しかし、現在報告されている病型予測ツールは、1つの病型のみを対象とするものや病型を分類せずに脳卒中全般を扱うものであった。そこで、本研究は、救急救命士が脳卒中を疑う患者に、脳卒中、LVO、ICH、およびSAHを予測するスコアを開発することを目的に実施された。

Derivationと validationの2段階でJUSTを構築・検証
 本研究では、モデル作成(derivation)段階およびモデル検証(validation)段階のコホート研究がそれぞれ実施された。

 DerivationおよびValidationは、それぞれ2015年6月~2016年3月の後向き多施設共同コホート、2016年8月~2017年7月の前向き多施設共同コホートにて行われ、それぞれ1,229例および1,007例が含まれた。

 評価項目は、症状、徴候、病歴からなる29の予測変数であった。

JUSTは、脳卒中およびその病型を病院到着前から見分ける有用なツールであることを証明
 主な結果は以下のとおり。

・Derivationコホート1,229例(年齢中央値72歳、男性55%)のうち、脳卒中 533例、LVO 104例、ICH 169例、SAH 57例が観察された。
・DerivationコホートにおけるJUSTの予測能は、AUCが、脳卒中 0.88、LVO 0.92、ICH 0.84、SAH 0.89であった。
・Derivationコホートにおける多変量ロジスティック回帰モデルでは、21の変数が、脳卒中、LVO、ICH、SAHのいずれとも独立して関連していた。
・Validationコホート 1,007例(年齢中央値75歳、男性56%)の脳卒中 617例、LVO 131例、ICH 183例、SAH 50例が観察された。
・ValidationコホートにおけるJUSTの予測能は、AUCが、脳卒中 0.80、LVO 0.85、ICH 0.77、SAH 0.94であった。
・救命救急士による21項目の変数入力にかかる時間の中央値は37秒であった。

 本研究で開発されたJUSTは、病院前段階で脳卒中の病型を同時に分類する最初のツールであり、脳卒中疑い患者の適切な病院への搬送や、急性期脳卒中患者への適切な治療提供(血管内治療、tPA、手術など)に役立つことが期待される。

 本論中において、著者らは、JUSTの利用が患者の生命を救い、急性期脳卒中患者の機能予後を間違いなく減少させるだろうと結論した。

(ケアネット 鈴木 渉)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ