日本の高齢ドライバーの自動車事故死亡率

提供元:ケアネット

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公開日:2018/10/17

 

 近年、先進国では高齢ドライバーによる自動車事故が大幅に増加している。わが国の高齢ドライバーの自動車事故の傾向を京都府立大学の松山 匡氏らが日本外傷データバンク(Japan Trauma Data Bank: JTDB)を用いて調べたところ、65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は年々増加しており、75歳以上で院内死亡率が最も高いことがわかった。Medicine誌2018年9月号に掲載。

 JTDBは国内256施設による外傷患者の前向き全国病院レジストリである。本研究では、2004~15年における法定運転年齢以上の自動車事故のドライバー全員を登録し、成人群(64歳以下)、前期高齢者群(65~74歳)、後期高齢者群(75歳以上)に分けて検討した。主要アウトカムは院内死亡率で、前期高齢者群または後期高齢者群による自動車事故割合の傾向を、コクラン・アーミテージ傾向検定を用いて評価した。また、成人群と比べた後期高齢者群と院内死亡率の関連を多変量ロジスティック回帰分析で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査期間中、合計23万6,698例の外傷患者が登録され、3万9,691例(16.8%)が評価対象となった。
・65歳以上のドライバーによる自動車事故の割合は、2004年の11.7%から2015年には23.8%に有意に増加した(p<0.001)。
・未補正の院内死亡率は年齢が上がるほど高かったが、どの年齢群も年々減少していた。
・成人群より後期高齢者群で院内死亡率が有意に高かった(17.3%[584/3,372]vs.8.0%[2,556/31,985]、調整オッズ比:4.80、95%信頼区間:4.06~5.67)。

(ケアネット 金沢 浩子)