喫煙による難聴リスク~日本の大規模コホート

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/15

 

 わが国の職域多施設研究であるJapan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study(J-ECOH Study)において、喫煙が難聴(とくに高音域)リスクと関連することが示された。この喫煙による過剰リスクは、禁煙後、比較的短期間で消失するという。Nicotine & Tobacco Research誌オンライン版2018年3月14日号に掲載。

 本研究は、難聴リスクと喫煙状況・喫煙量・禁煙との関連を検討した、わが国の大規模コホート研究である。ベースライン時に難聴を認めなかった20~64歳の労働者5万195人を最大8年間追跡した。純音聴力検査を毎年実施し、1kHzおよび4kHzにおける難聴について調べた。喫煙と難聴の関連はCox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中、3,532人に高音域の難聴、1,575人に低音域の難聴が発症した。
・生涯非喫煙者と比較した現在喫煙者のハザード比(HR)は、高音域の難聴で1.6(95%信頼区間:1.5~1.7)、低音域の難聴で1.2(同:1.1~1.4)であった。
・高および低音域の難聴リスクは、どちらも1日喫煙本数と共に増加した(傾向のp<0.001)。
・過去喫煙者のHRは、高音域の難聴で1.2(同:1.1~1.3)、低音域の難聴で0.9(同:0.8~1.1)であった。
・難聴リスクは禁煙により低下し、禁煙後5年未満の群においても低下していた。

(ケアネット 金沢 浩子)