高齢で診断された前立腺がん、予後に影響するのは?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/29

 

 前立腺がん診断時の年齢が高いことが予後不良に関連することを示す研究がいくつか報告されている。そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAndreas Pettersson氏らは、集団ベースのコホート研究で、診断時年齢と予後との関連を調べ、その関連が腫瘍特性、初期治療、診断年、検知方法、合併症と独立しているかどうかを検討した結果を報告した。著者らは結果から「本結果は、現在の臨床現場において、前立腺がんの高齢患者は診断のための検査や治癒目的の治療を十分に受けていないことを示している」としている。Annals of oncology誌オンライン版2017年11月17日号に掲載。

 本研究は、1998~2012年に前立腺がんと診断され、2014年まで追跡調査された、Prostate Cancer data Base Sweden(PCBaSe)3.0での55~95歳のスウェーデン人男性12万1,392人の全国コホート研究。データベースには、年齢、ステージ、グレード、PSA値、検知方法、合併症、教育レベル、初期治療のデータが含まれる。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を計算にはCox回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・診断時の年齢が上がるにつれて、合併症が多いこと、PSAでがんを発見されることが少ないこと、進行がんが多いこと、治癒目的での治療が少ないことが認められた。
・高リスクまたは局所転移のある前立腺がん男性では、M分類が不明な割合は、若年男性に比べて高齢男性で高かった。
・75万1,000人年のフォローアップ中に、2万3,649人の男性が前立腺がんで死亡した。
・治療により階層化された多変量Cox回帰分析において、高齢での診断は、待機遅延療法(60~64歳に対する85歳以上のHR:7.19、95%CI:5.61~9.20)、アンドロゲン遮断療法(60~64歳に対する75歳以上のHR:2.20、95%CI:1.01~4.77)、根治的前立腺全摘(60~64歳に対する75歳以上のHR:1.72、95%CI:1.61~1.84)で治療された男性では予後不良と関連していたが、放射線療法(60~64歳に対する76歳以上のHR:1.08、95%CI:0.76~1.53)では関連がなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)