加齢黄斑変性リスク、骨髄増殖性腫瘍患者で上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/21

 

 デンマーク・コペンハーゲン大学のMarie Bak氏らによるコホート研究の結果、骨髄増殖性腫瘍(MPN)患者は加齢黄斑変性(AMD)のリスクが高いことが確認された。著者は、「全身性炎症がAMDの発症に関与している可能性が支持された」とまとめている。先行研究で、AMDのリスクは、全身性炎症により高まることが示唆されており、MPNでは慢性の免疫修飾が起きていることから、AMDのリスクが高いのではないかと推測されていた。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年6月22日号掲載の報告。

 研究グループは、デンマークの全国レジストリを用い、1994年1月1日~2013年12月31日に、本態性血小板血症、真性多血症、骨髄線維症または分類不能のMPNと診断されたMPN患者群と、各MPN患者と年齢および性別をマッチさせた一般対照集団でAMDのリスクを比較した。

 AMD既往歴のないすべての対象について、MPN患者ではMPNの診断日、対照では対応する登録日から、AMDの初回診断、死亡/転居(または2013年12月31日)まで追跡し、AMDの発症頻度および絶対リスクを評価した。データ分析は、2015年4月1日~2016年10月31日に行われた。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用い、喫煙およびリスク時間で補正したAMDのハザード比(HR)を算出するとともに、抗血管内皮増殖因子(anti-VEGF)療法が導入された2006年以降の新生血管AMDのハザード比も算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、MPN患者7,958例、対照7万7,445例であった。
・MPN患者の背景は、女性4,279例(53.8%)、男性3,679例(46.2%)、診断時年齢(平均±SD)66.4±14.3歳で、疾患の内訳は本態性血小板血症2,628例、真性多血症3,063例、骨髄線維症547例、分類不能のMPNが1,720例であった。
・AMDの発症頻度(/1,000人年)は、MPN患者5.2(95%信頼区間[CI]:4.6~5.9)、対照4.3(95%CI:4.1~4.4)で、AMDの10年リスクはそれぞれ2.4%(95%CI:2.1~2.8%)および2.3%(95%CI:2.2~2.4%)であった。
・AMDのリスクは、概してMPN患者で増加した(補正HR:1.3、95%CI:1.1~1.5)。
・疾患別の補正HRは、本態性血小板血症1.2(95%CI:1.0~1.6)、真性多血症1.4(95%CI:1.2~1.7)、骨髄線維症1.7(95%CI:0.8~4.0)、分類不能のMPNは1.5(95%CI:1.1~2.1)であった。
・MPN患者は、新生血管AMDのリスクも高かった(補正HR:1.4、95%CI:1.2~1.6)。

(ケアネット)